NFSアプライアンス

[更新: 2025年12月24日]

さくらのクラウドで提供する「NFSアプライアンス」に関するページです。

概要

「NFSアプライアンス」は、さくらのクラウドのスイッチ配下のローカルネットワーク内に設置するNFS(Network File System)ファイルサーバアプライアンスです。ハードウェアとソフトウェアがインストールされたセットアップ済みのアプライアンスとして提供されるため、お客様側で煩わしいOSのインストールや設定作業を行うことなく、大容量のディスク領域が付属したNFSサーバをすぐに利用することが可能です。

仕様

対応プロトコル

NFSv3, NFSv4

提供プラン

標準プラン: 100GB, 500GB, 1TB, 2TB, 4TB, 8TB, 12TB
SSDプラン: 20GB, 100GB, 500GB, 1TB, 2TB, 4TB

データ転送帯域目安

標準プラン: 40MB/s程度
SSDプラン: 100MB/s程度
※いずれのプランもベストエフォートでの提供となります

IOPS目安

標準プラン: Read 200程度 / Write 200程度
SSDプラン: Read 5,000程度 / Write 800程度
※いずれのプランもベストエフォートでの提供となります

グローバルIPアドレス環境への接続

不可

ユーザ認証機構

なし

SNMP監視

接続ローカルネットワーク内より可能
※詳細は SNMPでの監視 の項目を参照ください

ファイルへの任意の所有者設定

可能

データバックアップ

クローン機能により任意の時点での複製が可能

障害時の挙動

障害時は自動復旧プログラムにより自動で再起動します。
詳細は ホストサーバの障害時はどのような動作になりますか? をご参照ください。
※復旧時間目安:10~15分程度(アプライアンスの起動完了まで)

注意

各プランのディスク容量は概算であり、実際にNFS保存領域として使用可能な領域はプラン表記容量より増減します。

料金

料金については サービスサイト を参照ください。

構成例

NFSサーバが持つ、大容量で複数クライアントからアクセスが可能であるメリットを活用した以下のような構成が可能です。

ローカルネットワーク上でWebサーバのコンテンツ用ストレージとして使用する

HTTPダウンロードサイトなど、複数台のWebサーバを ロードバランサ で負荷分散している環境で、共用コンテンツストレージとして使用する場合の構成例です。

構成例1

ローカルルータと組み合わせた他会員IDサービスからのファイル一時保管

利用中のクラウドプロジェクトと異なるプロジェクト/会員IDのサービス間で相互にL3接続可能な ローカルルータ サービスを使用し、子会社など異なる会員IDを持つ別組織とのファイル移動時の一時的な保管ストレージとして使用する場合の構成例です。

構成例2

利用手順

NFSアプライアンスの作成

注意

NFSアプライアンスの接続先はスイッチのみとなります。NFSアプライアンスの利用開始前にあらかじめローカルネットワークの構築やスイッチを準備してください。

左上のゾーン選択メニューより対象のゾーンを選択し、左側のメニュー「アプライアンス」カテゴリ内にある「NFS」を選択します。右側の画面に作成済みのNFSアプライアンスの一覧が表示されるので、ここでアクティビティの監視や停止操作などの管理が行えます。

新たなNFSアプライアンスを作成する場合は右上の「追加」ボタンをクリックします。

追加ボタンから新規追加が可能

新規作成画面で作成対象のNFSアプライアンスに付与するネットワーク情報などの設定情報を入力します。

必要情報を入力する

接続先スイッチ(*)

NFSアプライアンスを接続するスイッチを選択します
※作成後に接続先スイッチの変更、切断をすることはできません

クローン元アプライアンス

既存のNFSアプライアンスと同じディスク内容で作成したい場合にメニューから選択します

プラン(*)

HDDを採用した「標準プラン」、より高性能な「SSDプラン」のいずれかを選択します

サイズ(*)

アプライアンスのディスクサイズを選択します

暗号化

NFSで利用するストレージを暗号化します
詳細は ストレージとデータ > ディスク暗号化機能 マニュアルをご参照ください

使用するKMSキー

暗号化の際に使用するKMSキーを選択します
事前にKMSキーの作成が必要となります
詳細は KMS(Key Management Service) をご参照ください

IPv4アドレス(*)

NFSアプライアンスのネットワークインタフェースに付与するIPv4アドレスを入力します
※作成後に変更することはできません
※IPv6は非対応です

ネットマスク(*)

設定したIPv4アドレスのネットマスクを選択します

ゲートウェイ

NFSアプライアンスのネットワークインタフェースのデフォルトゲートウェイのIPアドレスを入力します

モニタリングスイート

NFSアプライアンスのメトリクス情報をモニタリングスイートへ連携する場合に有効化します
詳細は モニタリングスイート連携機能 の項目を参照ください

名前/ 説明 / タグ / アイコン

コントロールパネルで管理する際に分かりやすい名前、説明、タグ、アイコンを設定することができます

* 必須項目

作成が完了するとNFSアプライアンス一覧画面に追加されます。対象のNFSアプライアンスをダブルクリックすることで情報の表示やアクティビティグラフの確認をすることができます。

クライアント側でのNFSマウント

ここではRHEL系OSを例に、NFSアプライアンスをNFSv4でマウントする手順を解説します。

注意

・NFSv3で使用する場合はクライアント側にrpcbindのインストールやportmapの設定が必要となる場合があります。
・Windowsがクライアントとなる場合の動作は保証していません。

必要なパッケージのインストール

さくらのクラウドで標準提供するアーカイブを含め、デフォルトのインストール状態ではNFSクライアントとして必要なパッケージがインストールされていません。初めにパッケージとしてNFSクライアントとして機能させるのに必要なnfs-utilsパッケージをインストールします。

# yum install nfs-utils

マウント

mountコマンドにより、指定のマウントポイントにNFSマウントします。

ヒント

NFSアプライアンスのマウントポイントは /export です。

例: NFSアプライアンスのIPアドレスが192.168.0.1で、/mntディレクトリにマウントする場合

# mount 192.168.0.1:/export /mnt

マウントの確認はdfコマンドやmountコマンドにより行います。

# df
Filesystem          1K-blocks    Used Available Use% Mounted on
/dev/vda2            16481140 1487792  14154516  10% /
tmpfs                  510104       0    510104   0% /dev/shm
192.168.0.1:/export 103080320   61056  97776384   1% /mnt
# mount
/dev/vda2 on / type ext4 (rw)
proc on /proc type proc (rw)
sysfs on /sys type sysfs (rw)
devpts on /dev/pts type devpts (rw,gid=5,mode=620)
tmpfs on /dev/shm type tmpfs (rw)
none on /proc/sys/fs/binfmt_misc type binfmt_misc (rw)
192.168.0.1:/export on /mnt type nfs (rw,vers=4,addr=192.168.0.1,clientaddr=192.168.0.2)

また、再起動後も自動的にNFSマウントされるように/etc/fstabファイルに追記します。

192.168.0.1:/export /mnt nfs rw 0 0
Windows Serverからの利用方法

Windows ServerでNFSアプライアンスをマウントする手順については以下のページを参照ください。

クローン機能

クローン機能により、クローン作成実行時のディスク状態でNFSアプライアンスを複製することが可能です。 同一のデータが保存された状態のNFSアプライアンスを複数使用したい、大幅な内容変更の前にバックアップしたい場合などに便利です。

作成方法

注釈

新規作成時に「クローン元アプライアンス」選択メニューから既存のNFSアプライアンスを選択することでクローンを作成することも可能です。

NFSアプライアンス一覧画面から、クローン複製元となるアプライアンスをダブルクリックして詳細画面を表示します。

クローン複製元となるアプライアンスをダブルクリックして詳細画面を表示する

右上にある「クローン」ボタンをクリックします。

クローンボタンをクリックする

NFSアプライアンス新規作成画面と同様の入力画面が表示されるので、「クローン元アプライアンス」選択ポップアップメニューが指定したNFSアプライアンスとなっていることを確認後、必要事項を入力し右下の「作成」ボタンをクリックします。

※「プラン」はクローン元アプライアンスと同等、もしくはより大きいディスク容量のプランを選択してください。

プランの選択

NFSアプライアンス画面にクローンしたNFSアプライアンスが表示されることを確認します。クローンしたNFSアプライアンスは情報の編集や削除など、通常のNFSアプライアンスと同様に操作することが可能です。

NFSアプライアンス画面にクローンしたNFSアプライアンスが表示されることを確認する

※1TBを超えるディスクサイズのプランでは、実際にマウントして使用可能な状態(有効状態が「利用可能」表示)になるまで1時間以上かかる場合があります。

クローンの注意事項

  • 「暗号化あり」から「暗号化なし」のNFSアプライアンスのへのクローン操作は可能ですが、ストレージとデータ > ディスク暗号化機能 仕様により作成後のステータスは「失敗」となります

  • 作成が失敗したNFSアプライアンスはコントロールパネルからご確認いただけますので、お客様にて削除をお願いいたします

  • なお、本内容にて作成が失敗したNFSアプライアンスにつきましては、課金対象外のため料金は発生しません

SNMPでの監視

NFSアプライアンスではSNMPエージェント機能を提供しており、付与したIPアドレスに対してSNMP接続することでアプライアンス内の各種状況を監視することが可能です。

注意

SNMPコミュニティ名は"sacloudnfs"で固定となり変更はできません。また、IPアドレス等による接続制限もありません(NFSアプライアンスが接続されるプライベートネットワーク全域よりアクセスが可能となります)。

種別

OID

備考

ディスク関連

.1.3.6.1.4.1.2021.9

NFS領域として提供しているディスクに関する情報を取得できます

ネットワークインターフェース

.1.3.6.1.2.1.2.2.1.0.2 0xff:a0

ネットワークインタフェースの情報

ネットワークインターフェース(64Bit)

.1.3.6.1.2.1.31.1.1.1.0.2 0xff:d0

ネットワークインタフェースの情報(64bit)

ディスク暗号化機能

本機能はストレージ側で実装されているディスク暗号化機能を、NFSアプライアンスの新規作成するディスクに適用できる機能です。
詳細は ストレージとデータ > ディスク暗号化機能 マニュアルをご参照ください。

また、本機能は当社提供のKMS(Key Management Service)による鍵管理に対応しており、暗号化時にKMSキーを指定して利用することが可能です。 詳細は KMS(Key Management Service) をご参照ください。

利用方法

サーバ作成時、表示されるフォームの「ディスクを暗号化する」チェックボックスを有効にし、KMSキーを選択し作成します。

注意

事前にKMSキーの作成が必要となります。詳細は KMS(Key Management Service) をご参照ください。

「ディスクを暗号化する」チェックボックスを有効にし作成する

作成後はNFSの情報画面でディスク暗号化の有効状態が確認できます。

データベースの情報画面

モニタリングスイート連携機能

本機能は、NFSアプライアンスの主要なパフォーマンス指標(CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークなど)のメトリクス情報を「モニタリングスイート」と連携する機能です。

  • 本機能を有効化すると、NFSアプライアンスのメトリクス情報をモニタリングスイートへ連携できます。

  • 実際に利用する場合は、事前にモニタリングスイートの設定が必要です。

利用方法

NFSアプライアンス作成時または作成後の設定画面で「モニタリングスイート」を有効化してください。
モニタリングスイートの詳細については マニュアル をご参照ください。

作成画面

NFSアプライアンスの作成画面

設定変更画面

画面右上の「NFSの変更」ボタンをクリックし、設定変更画面で「モニタリングスイート」を有効化してください。

NFSアプライアンスの設定変更画面

メトリクス

メトリクスルーティングを設定することで、モニタリングスイートへメトリクスを連携できます。
NFSアプライアンスの「モニタリングスイート」タブを表示し、メトリクスルーティング設定を追加してください。
メトリクスストレージ未作成の場合、新規作成の確認ダイアログが表示されるので「はい」を選択してください。

メトリクスストレージ確認画面

「保存先」に作成したメトリクスストレージを選択し、「種別」にシステムメトリクスを選択し、「作成」を選択してください。

メトリクスルーティング設定画面

作成したメトリクスルーティングが次のように表示されます。

メトリクスルーティング一覧画面

メトリクスは モニタリングスイート のメトリクスストレージに保存されます。

連携しているメトリクス一覧

メトリクス名

説明

ラベル名

ラベル値

sakuracloud_nfs_system_cpu_utilization_ratio

CPU使用率(0.0〜1.0の比率)

state

idle, user, system など

sakuracloud_nfs_system_disk_io_bytes_total

ディスクI/Oで転送されたバイト数の累積

direction

read(読み取り), write(書き込み)

sakuracloud_nfs_system_disk_operations_total

ディスクI/Oの操作回数の累積

direction

read(読み取り), write(書き込み)

sakuracloud_nfs_system_disk_pending_operations

保留中のディスクI/O操作回数

なし

なし

sakuracloud_nfs_system_cpu_load_average_1m

CPUロードアベレージ (直近1分)

なし

なし

sakuracloud_nfs_system_filesystem_usage_bytes

ファイルシステムの使用バイト数

state

used, reserved, free

sakuracloud_nfs_system_filesystem_utilization_ratio

ファイルシステムの使用率(0.0〜1.0の比率)

mode

rw

sakuracloud_nfs_system_memory_utilization_ratio

メモリ使用率(0.0〜1.0の比率)

state

used, free, cached, buffered など

sakuracloud_nfs_system_network_dropped_total

破棄されたパケットの累積数

direction

transmit, receive

sakuracloud_nfs_system_network_io_bytes_total

転送されたバイト数の累積

direction

transmit, receive

sakuracloud_nfs_system_paging_operations_total

ページング操作回数の累積

direction

pagein, pageout

sakuracloud_nfs_system_paging_utilization_ratio

ページング使用率(0.0〜1.0の比率)

state

used, free

注意

連携されるメトリクスの内容や名称は今後変更となる場合があります。詳細はモニタリングスイートのマニュアルをご参照ください。

PromQL を使用したメトリクスの例

モニタリングスイートのメトリクスストレージに保存された NFS アプライアンスのメトリクスは、 PromQL を使用してクエリを実行できます。
以下にいくつかの例を示します。

メトリクスストレージ検索画面
  • CPU 使用率
    sakuracloud_nfs_system_cpu_utilization_ratio * 100
    
  • メモリのページング
    sakuracloud_nfs_system_paging_operations_total
    
  • ディスク容量(使用率)
    sakuracloud_nfs_system_filesystem_utilization_ratio{device="/dev/vdb1"} * 100
    
  • ストレージの IOPS
    sum by (device) (rate(sakuracloud_nfs_system_disk_operations_total{device="vdb1"}[5m]))
    
  • ストレージのスループット
    sum by (device) (rate(sakuracloud_nfs_system_disk_io_bytes_total{device="vdb1"}[5m]))
    
  • ネットワークトラフィック量
    sakuracloud_nfs_system_network_io_bytes_total