RAIDアレイ管理ガイド - StorCLI

最初に

本書の目的と構成

  • このマニュアルは さくらの専用サーバ を利用するユーザー向けの公開資料です。
    サービスを利用するユーザーが、サーバーの出荷状態や構成情報、操作するための基本的なオペレーションの知識を得る目的で公開しています。
  • マニュアルの情報は、ご利用いただくための最小限の情報提供と紹介の範囲にとどめております。
    細かな操作や最新情報、設定手順、リファレンスについては、提供元ベンダーのドキュメントやヘルプマニュアルを参照してください。
  • 一部のマニュアルで一般公開していない情報が一部含まれている場合は、アクセス制限を設けています。

サーバー操作に関する注意と免責事項

  • サーバーの操作を行うときは「十分な計画」と「検証と動作確認」を行なってください。
    このマニュアルの中で紹介するオペレーションは、慎重に計画し実行しなければならない操作が多数含まれています。
    実際のサーバー環境でオペレーションするときは「実行しても問題ないか」「実行の順番に間違いはないか」「実行経過と実行結果の出力」など、よく確認してからおこなってください。
  • 「警告」「重要」「注意」が示されている場合は、これに従って作業を行なうようにしてください。
    間違った操作によって、システムに深刻な打撃を与えてしまった場合、弊社はその責任を負いかねます。
  • サーバーのオペレーションシステム(OS)や操作コマンド、ユーティリティーの更新などにより、マニュアルに記載されている内容が使用できなかったり、実行結果が更新・変更されている場合があります。ユーティリティーやコマンドのヘルプ、公式サイト、ユーザーサイトで最新情報をご確認ください。
  • 全ての操作は、このマニュアルだけでなくユーティリティーやツールのヘルプ、ベンダーの公式ドキュメントを必ず確認してから行なってください。
  • マニュアルの内容については、さくらインターネットは如何なる責任を負うものではありません。

本書内のコマンド・出力結果例について

このマニュアル内の入力コマンドやその出力結果は、入力内容や出力結果を把握するためのサンプルです。

利用しているモデルやサーバーの環境、構成、バージョンによって出力結果が異なる場合があります。ご自身の環境で実行した結果を確認してください。

出力結果が非常に長い場合には、確認するポイント部分のみ取り出し、省略して記載しています。

/etc/sysconfig/snmpd 記入例
OPTIONS="-Lsd -Lf /dev/null -p /var/run/snmpd.pid udp:161"
コマンド入力例
# /etc/init.d/network restart
(出力結果)

参考ドキュメント・URL一覧

さくらの専用サーバ 提供サービス全般のご紹介

さくらの専用サーバ サポート

さくらの専用サーバ サポートサイトトップページ

さくらの専用サーバ コンパネ操作方法について
提供機器やOSの出荷情報、 RAIDユーティリティー、ストレージ、ネットワーク機器 利用ガイド
提供のOS・開発元 公式サイト一覧
提供のハードウェア 公式サイト一覧

RAID管理ユーティリティ - StorCLI

StorCLI とは

StorCLI は、RAIDコントローラーを構成・モニターするための「コマンドラインインターフェース(CLI)」です。

ご利用にあたってはサーバーにコマンドがインストールされている必要があります。サーバーの仕様を確認し StorCLI コマンドがインストールされていることを確認ください。

  • RAIDを構成する場合、構成内容によって必要となるストレージ本数が異なります。要件を満たしているか事前に確認してください。(例: RAID10の構成には最低4本の物理ディスクが必要)

  • 運用中のストレージを新しく組みなおす場合、保存済みのデータは削除されます。必要なデータは必ずバックアップしてください。

StorCLI で用いられる用語

StorCLI では出力結果に色々な単語、短縮語が用いられています。

本書内の基本書式やサンプル、出力結果で登場する単語についてあらかじめご紹介します。

Ctl, Controller index

コントローラーインデックス、コントローラー番号

PD, PDs
Physical disk

物理ディスク

VD, VDs
Virtual disk

仮想ディスク

EID, Enclosure ID, e

エンクロージャーID
スロットとの組み合わせで「e:s」とだけ表記される場合があります

slt, Slot, Slot No, s

スロット番号
エンクロージャーIDとの組み合わせで「e:s」と表記される場合があります

raid[TypeNo], r[TypeNo]

RAID構成の種類
「raid0」「raid1」や「r0」「r1」という表現になります

コマンドパス

本書内の基本書式やサンプルの中では 冗長になるためコマンドのフルパスや実行ユーザーの記載は行いません。

ご利用の環境に合わせて 実行パス、実行ユーザーを補完してください。

Windows Server

管理者権限でコマンドを実行する

C:\LSI\storcli64.exe <オプション>

VMWare ESXi

管理者権限でコマンドを実行する

/opt/lsi/storcli/storcli <オプション>

Note

お客様がインストールを行った場合は、実行ファイルの場所が異なる場合があります。

バージョンとヘルプマニュアル

「-v」オプションを付けると、StorCLI のバージョンを確認することができます。

storcli -v

「-h」または「-help」オプションを付けると、 StorCLI のヘルプマニュアルを見ることができます

storcli -h

RAIDを操作する

構成情報の表示、それぞれのRAIDを構成する場合のサンプルをご紹介します。RAID0/1では2台のPD、RAID5では最低3台のPDの指定が必要です。

これから紹介するリファレンスでは、表の環境上にすでに「VD0」が存在しており、「VD1」として作成する手順を示します。

入力サンプル内では、コントローラー番号やエンクロージャーID、スロット番号は以下の値を用いている箇所があります。

コントローラーインデックス(Ctl)

0

エンクロージャーID (EID)

252

スロット番号(slt)

1,2,3 ...

仮想ディスク番号 (VD)

0,1 ...

物理ディスク番号 (PD)

0,1 ...

RAIDアレイの情報を表示する

コマンドリファレンス

RAID構成情報や、物理ディスク(PD)、仮想ディスク(VD)情報は以下のオプションで得ることができます。

RAID情報表示

構成と概要を表示する

コントローラー番号やモデル名が確認できます。

storcli show

コントローラー情報とディスクの接続状態を表示する

すべてのコントローラーの接続状態や、VD, PD情報などが表示されます。

storcli /call show

コントローラー番号0を指定する場合は以下のように記述します

storcli /c0 show

VD情報を表示する

すべての仮想ディスクの状態が表示されます。

storcli /call/vall show

コントローラー番号0、VD1を指定する場合は以下のように記述します

storcli /c0/v1 show

PD情報を表示する

すべての物理ディスクの接続状態が表示されます。

storcli /call/pall show

コントローラー番号0、物理ディスクの番号2を指定する場合は以下のように記述します

storcli /c0/p2 show

RAIDアレイを構成する

構成したいRAID構成と物理情報(エンクロージャー番号、スロット番号)を指定します。

基本書式
storcli /c[ctrl] add vd type=[raid-type] drives=e:s,e:s ... [option...]
コマンド実行例

RAID0を構成する

storcli /c0 add vd type=raid0 drives=252:2,252:3

RAID1を構成する

storcli /c0 add vd type=raid1 drives=252:2,252:3

RAID5を構成する

storcli /c0 add vd type=raid5 drives=252:2,252:3,252:4

RAIDの構成、仮想ディスクを作成した後は、ファイルシステムの作成、パーティショニングなど必要な操作を行ってください。

RAIDアレイを削除する

指定した仮想ディスク構成を削除するコマンドラインオプションです。削除された仮想ディスク上のデータは削除されます。

基本書式
storcli /c[ctrl]/v[vd] del
コントローラー1、VD1を削除する
storcli /c0/v1 del

警告

仮想ディスク上のデータはすべて消去されます。

運用と保守

RAIDアレイの状態を確認する

「コントローラー情報」の「VD LIST」の項目で状態を確認することができます。
「State」が「Optimal(Optl)」が正常な状態です。

表示が 「Optimal」ではない 場合は、ディスク構成のいずれかに異常が発生していることを示します。

基本書式 (上から コントローラーの情報、仮想ディスクの情報)
storcli /call show
正常時の出力サンプル(抜粋)
VD LIST :
=======

--------------------------------------------------------------
DG/VD TYPE  State Access Consist Cache Cac sCC      Size Name
--------------------------------------------------------------
0/0   RAID1 Optl  RW     Yes     RWBD  -   OFF 893.75 GB
1/1   RAID1 Optl  RW     No      RWBD  -   OFF 893.75 GB
--------------------------------------------------------------

上記の場合ではどちらのVDも正常(Optl)であることがわかります。

異常時の出力サンプル(抜粋)
VD LIST :
=======

--------------------------------------------------------------
DG/VD TYPE  State Access Consist Cache Cac sCC      Size Name
--------------------------------------------------------------
0/0   RAID1 Optl  RW     Yes     RWBD  -   OFF 893.75 GB
1/1   RAID1 Dgrd  RW     No      RWBD  -   OFF 893.75 GB
--------------------------------------------------------------

上記の場合ではVD0が正常(Optl)、VD1が異常(上記ではDgrd)であることがわかります。

参考) 代表的なState一覧

表示

詳細

Onln

Online:正常な状態

Dgrd

Degrade:RAIDの状態に異常が発生している

Rbld

Rebuild:リビルド中

※コマンドのバージョンや状況によっては上記以外の表記になる場合もあります。ヘルプを参照してください。

物理ディスクの状態を確認する

「コントローラー情報」の「PD LIST」項で状態を確認することができます。
「State」が「Onilne(Onln)」が正常な状態です。

意図的に操作・作業していないのであれば、「State」が 「Onilne(Onln)」ではない 場合は、すべてディスクの状態が異常であることを示します。

基本書式
storcli /call show
正常時の出力サンプル(抜粋)
PD LIST :
=======

---------------------------------------------------------------------------
EID:Slt DID State DG      Size Intf Med SED PI SeSz Model               Sp
---------------------------------------------------------------------------
252:0     1 Onln   0 893.75 GB SATA SSD N   N  512B INTEL SSDSC2KB960G7 U
252:1     3 Onln   0 893.75 GB SATA SSD N   N  512B INTEL SSDSC2KB960G7 U
252:2     2 Onln   1 893.75 GB SATA SSD N   N  512B INTEL SSDSC2KB960G7 U
252:3     0 Onln   1 893.75 GB SATA SSD N   N  512B INTEL SSDSC2KB960G7 U
---------------------------------------------------------------------------

上記では4つのディスクがすべて正常(Online/Onln)となっています。

異常時の出力サンプル(抜粋)
PD LIST :
=======

---------------------------------------------------------------------------
EID:Slt DID State DG      Size Intf Med SED PI SeSz Model               Sp
---------------------------------------------------------------------------
252:0     1 Onln   0 893.75 GB SATA SSD N   N  512B INTEL SSDSC2KB960G7 U
252:1     3 Onln   0 893.75 GB SATA SSD N   N  512B INTEL SSDSC2KB960G7 U
252:2     2 UBad   - 893.75 GB SATA SSD N   N  512B INTEL SSDSC2KB960G7 U
252:3     0 Onln   1 893.75 GB SATA SSD N   N  512B INTEL SSDSC2KB960G7 U
---------------------------------------------------------------------------

上記では252:2のディスクに異常が発生している(上記ではUBad)ことがわかります。

参考) 代表的なState一覧

表示

詳細

Onln

Online:正常な状態

Offln

Offline:コマンドにより意図的にoffline にされている、もしくは障害が起きている

UBad

Unconfigure Bad:故障が起きている。DiskがRAIDコントローラーから外れた状態

UGood

Unconfigure Good:未使用

Rbld

Rebuild:リビルド中

リビルドの進捗を確認する

リビルドの進捗は以下のコマンドで確認することができます。

基本書式
storcli /call/eall/sall show rebuild

進捗(%)と終了までの時間(分)が表示されます。

出力結果
Controller = 0
Status = Success
Description = Show Drive Rebuild Status Succeeded.

----------------------------------------------------------
Drive-ID    Progress% Status          Estimated Time Left
----------------------------------------------------------
/c0/e252/s0 -         Not in progress -
/c0/e252/s1 -         Not in progress -
/c0/e252/s2 4         In progress     33 Minutes
/c0/e252/s3 -         Not in progress -
----------------------------------------------------------

ディスク故障・交換のお問い合わせ

故障によるお問い合わせ、ご依頼は以下の情報を添付して弊社サポートセンターへご連絡ください。

  • 会員情報 (会員ID、ご契約者名)

  • 対象のサービス情報 (サービス名称、IPアドレス)

  • お困りの内容 (ディスクの故障、交換など)

  • 故障・交換依頼対象のディスクの情報

    • 故障しているコントローラー番号

    • 故障しているエンクロージャーID

    • 故障しているスロット番号

    • サーバーの出力結果
      ( RAIDアレイの状態を確認する の出力結果をすべて貼り付けて下さい)

わかる範囲内の情報でも結構ですが、情報がそろっているとスムーズに対応が可能です。