さくらのVPS講座 第1回:VPSって何だろう?¶
今回の内容¶
第1回では、まず「サーバーとは何か」という話から、VPSの特徴について他のサーバーサービスと比較しながら解説していきます。
VPSとは何か?¶
VPSとは「仮想専用サーバー(Virtual Private Server)」の略称で、物理的なサーバー上にユーザーごとの仮想的なサーバーを構築し、そのユーザー専用のサーバーのように利用できるサービスです。
そもそもサーバーとは何か?¶
インターネット上で提供されるサービスの多くは、 サービスを提供する側(サーバー) と、 サービスを受ける側(クライアント) とで成り立っています。
ユーザーはクライアントから、サーバーに置かれたシステムにアクセスします。
クライアントとサーバーはどちらも同じコンピュータの仲間ですが、役割の上で様々な違いがあります。
クライアントの役割
クライアントはパソコンやスマートフォンなど、ユーザーがサービスを利用する時だけ動かすものなので、使わないときは電源を切ったりできますし、いつも稼働しているわけではありません。
サーバーの役割
一方で、サーバーはクライアントの要求に応える為、基本的に24時間365日稼働している必要があります。その為、OSも長時間稼働させることが前提となって作られたものがインストールされています。
サーバーが提供するWebサービスの内容によっては、常にその動作を監視する体制も必要となります。
さくらインターネットのような、いわゆる「ホスティング事業者」は、いずれもサービスとしてこのサーバーを貸し出しています。
VPSもこのサーバーサービスの一種です。
サーバーを借りることで、ユーザーは自分でサーバーの運用をしなくてもよくなります。
ただし、一言で「サーバーを借りる」といってもその形態はさまざまです。
次はVPSと他のサーバーサービスを比較して、その特徴を見てみましょう。
レンタルサーバーの特徴¶
レンタルサーバーは1台の物理サーバーを、複数のユーザーで共有する利用形態です。
ユーザーはサーバーのハードウェアリソースだけでなく、サーバーOSも共有しています。
もちろん、ユーザー間のデータは論理的に分割されており、他のユーザーのデータを見ることはできません。
レンタルサーバーのメリット
- とにかく安く利用できます。
ホスティング事業者によっては、1ヶ月百数円で利用できるレンタルサーバーもあります。 - Webサイト公開に必要な基本的なアプリケーションが既に準備されていて、お申込み後すぐにWebサイトを公開することができます。
レンタルサーバーのデメリット
- 1つのサーバーのハードウェアリソースを複数のユーザーで共有する為、他のユーザーのアクセス状況などの負荷影響を受けやすくなります。
- また、ホスティング事業者が決めたOSやWebサーバー、データベース、メールといったアプリケーションを使うことになり、リソースの範囲やユーザーが作ることができるデータベースの数にも制限があります。
- ユーザーは管理者権限を持たない為、サーバーをコントロールできず、使いたいアプリケーションをあとから自由にインストールすることもできません。
専用サーバーの特徴¶
専用サーバーは1台の物理サーバーを、1人のユーザーが占有できるサービスです。
専用サーバーのメリット
- 1台まるまる自分のサーバーとして使えるので他のユーザーの負荷影響などを受けません。
- ユーザーは管理者権限を持つため、OSやアプリケーションも自由にインストールすることができます。
- また物理的なサーバーのみならず、専用グローバルサービスなどで、ファイアウォールやロードバランサーなど柔軟なネットワーク環境を専用に構築できるサービスも用意されていることがあります。
専用サーバーのデメリット
- ハイスペックな性能と引き換えに、費用はレンタルサーバーと比較して、非常に高価になります。
- また、サーバーを自分で構築し、環境設定、メンテナンスするための知識や技術が必要になります。
- ハードウェアの状態に関してもお客様自身でチェックする必要があり、故障が発生、もしくは予兆を確認したら、それを事業者に伝えて対応をして貰う必要があります。
VPSの特徴¶
VPSは レンタルサーバーと専用サーバーのいいところどり をしたようなサービスです。
1台の物理サーバーを複数のユーザーで共有するのはレンタルサーバーと同じです。
しかし「仮想化技術」により、1台の物理サーバーの中に、仮想的なサーバーをたくさん作っています。
そのためVPSは レンタルサーバーのように手軽で ありながら、 専用サーバーと同じレベルの環境 を利用することができます。
VPSのメリット
- レンタルサーバーと同じで1ヶ月数百円など、専用サーバーに比べて非常に安価に利用できます。
- ユーザーは管理者権限を持つため、OSやアプリケーションも自由にインストールすることができます。
- また、仮想サーバー1つ1つにハードウェアリソースが予め割り当てられており、レンタルサーバーより他のユーザーの負荷影響を受けにくくなります。
VPSのデメリット
- サーバーを自分で構築し、環境設定、メンテナンスするための知識や技術が必要になります。
まとめ¶
VPSは、 レンタルサーバーのように安価で手軽に、そして専用サーバーのように自由に サーバーをコントロールすることができるサーバーサービスです。
こんな方に特にオススメ!
- 「レンタルサーバーは使い慣れているが、もう少し色々、自由にカスタマイズしてみたい!」と考えている方
- 「レンタルサーバーでは使えないアプリケーションやライブラリを使用してみたい!」と考えている方
- サーバーを専有できるサービスの中でも特に価格帯が安く、はじめるハードルが低いので、
「プログラミングの学習の一環で、初めてサーバーを触ってみる」という方
いかがでしたか?
今回は他のサーバーサービスと比較して、VPSの概要と便利な点について解説しました。
次回は、数あるVPSの中でも、「"さくらのVPS"にはどんな特徴があるのか?」をご紹介します。
また第3回以降は、さくらのVPSに「WordPress」というブログシステムを入れて動かすまでを、回を分けて順番に解説していきます。