Linuxからの移行

[更新:2026年4月3日]

BYOLで検討したように、Linuxの移行では、Ubuntu、Debian、AlmaLinux、Rocky LinuxなどのLinuxディストリビューションとRed Hat Enterprise Linux(RHEL)や、商用サポート付きのLinuxディストリビューションおよびOracle製品(Oracle Database、Oracle WebLogic Serverなど)で手順や考慮事項が異なります。

Linux

Ubuntu、Debian、AlmaLinux、Rocky LinuxなどのLinuxディストリビューションは、ライセンスの制約がなく、複数の移行方法から選択できます。ただし、さくらのクラウドで提供されているパブリックアーカイブ以外の持ち込みOSはサポート対象外となるため、注意してください。

移行方法の選択肢

Linuxの移行には、大きく分けて以下の3つの方法があります。

方法1:新規構築・再セットアップ方式

さくらのクラウドのパブリックアーカイブから同一ディストリビューションを選択し、新規にサーバを構築する方式です。

メリット - クリーンな環境でスタートできる - さくらのクラウドに最適化された初期設定が適用される - 構成管理ツール(Ansible等)を活用すれば、環境の再現性が高い

デメリット - アプリケーションの再インストール、設定の再構成が必要 - 移行作業の工数がかかる

手順の概要 1. パブリックアーカイブからサーバを作成 2. 必要なパッケージ、ミドルウェアをインストール 3. 設定ファイルを現行環境からコピー・適用 4. データを移行(rsync、scp等) 1. 動作確認・切り替え

方法2:ISOイメージからのインストール方式

さくらのクラウドでは、ISOイメージをアップロードしてサーバにマウントし、OSをインストールすることが可能です。パブリックアーカイブに存在しないディストリビューションやバージョンを使用したい場合に有効です。

手順の概要 1. 使用したいディストリビューションのISOイメージを入手 2. さくらのクラウドのISOイメージ機能でアップロード 3. 空のサーバを作成し、ISOイメージをマウント 4. コンソールからOSをインストール 5. 以降は方法1と同様

方法3:ディスクイメージ移行方式

現行環境の仮想ディスクイメージ(VMDK等)を変換し、さくらのクラウドにインポートする方式です。さくらのクラウドでは無償で移行ツールが公開されており、ディスクイメージ移行方式を使用して現行環境をさくらのクラウドへ移行可能です。

ツールの詳細は公式サイトをご参照ください。

メリット - 現行環境をほぼそのまま移行できる - アプリケーションの再インストールが不要

デメリット - ディスクイメージの変換作業が必要 - ドライバやネットワーク設定の調整が必要になる場合がある - 移行元環境の不要なデータやゴミも引き継がれる

手順の概要 1. VMware環境でVMをエクスポート(OVF/OVA形式) 2. 仮想ディスクをRAW形式に変換(qemu-img等を使用) 3. さくらのクラウドのアーカイブ機能でディスクイメージをアップロード 4. アップロードしたアーカイブからサーバを作成 5. ネットワーク設定、virtioドライバ等を調整 6. 動作確認

さくらのクラウドで提供される無償の移行ツールは上記手順1.から4.までを自動で行います。

注意事項

  • カーネルバージョンやディストリビューションのバージョンが異なる場合、アプリケーションの互換性確認が必要です。

  • ネットワーク設定(IPアドレス、DNS等)は移行後に再設定が必要です

RHEL

BYOLのセクションで解説したとおり、さくらのクラウドでRHELの利用は以下の環境に限定されています。

  • 石狩第3ゾーンおよび東京第2ゾーン

  • コア専有プラン(Intel Xeon Processor) 2〜8コアのプラン

移行手順の概要

  1. 現行環境のアセスメント

    • インストールされているアプリケーション、ミドルウェアの一覧作成

    • 各種設定値(ネットワーク、セキュリティポリシー、レジストリ等)の棚卸し

    • データ容量の確認

  2. さくらのクラウドでのサーバ作成

    • パブリックアーカイブからRed Hat Enterprise Linux Server 8またはRed Hat Enterprise Linux Server 9を選択

    • 必要なコア数、メモリ、ディスク容量を指定してサーバを作成

  3. アプリケーション・ミドルウェアのインストール

    • 現行環境と同等のアプリケーション、ミドルウェアをインストール

    • 設定値を現行環境に合わせて構成

  4. データ移行

    • rsyncなどを用いてディレクトリやデータを同期します。

  5. 動作確認・切り替え

    • 移行後の動作確認テスト

    • DNS切り替え等によるサービス切り替え

Oracle(Oracle Linux / Oracle Database稼働環境)

Oracle製品を使用している環境は、ライセンスの観点から最も慎重な検討が必要です。BYOLのセクションで解説したとおり、「さくらのクラウド」ではOracle製品は利用できません。

基本方針

Oracle製品を使用している場合、さくらのクラウドへの直接移行はできません。以下のいずれかの方針を検討してください。

選択肢1:Oracle Cloud Infrastructure(OCI)への移行

Oracle社が提供するパブリッククラウドであるOCIへの移行です。

メリット

  • Oracle製品のライセンス持ち込みが明示的にサポートされている

  • Oracle Databaseに最適化された環境が提供されている

移行イメージ

  • Oracle Database:OCI Database Cloud ServiceまたはOCI Compute上のDatabase

  • Oracle WebLogic:OCI上のWebLogic Server

  • 他のシステム:さくらのクラウドを利用し、OCIとの連携構成を検討

    • さくらのクラウドとは閉域網接続であるOCXを利用してOCIと接続

選択肢2:さくらの専用サーバ PHY またはハウジングの利用

物理サーバを占有する形態であれば、従来のオンプレミスと同様のライセンスカウントルールを適用できます。

メリット

  • ライセンスカウントが明確(物理コア数 × コアファクター)

  • 既存ライセンスをそのまま継続利用できる

  • クラウド環境特有のライセンス問題を回避できる

移行イメージ

  • さくらの専用サーバ PHY:物理サーバを専有利用する形態で、Oracle製品のライセンスを持ち込み可能

  • ハウジング:お客様所有のサーバをさくらインターネットのデータセンターに設置する形態

手順の概要

  1. 必要なスペックの物理サーバを選定・契約

  2. Oracle Linuxまたは対応OSをインストール

  3. Oracle製品をインストール・設定

  4. データ移行(Data Pump、RMAN等を使用)

  5. 動作確認・切り替え

注意事項

  • Oracle製品のライセンスに関しては、必ずOracle社または認定パートナーに確認してください

  • ライセンス監査に備え、利用環境の構成を明確に文書化しておくことを推奨します

  • 移行プロジェクト開始前に、ライセンスの取り扱いについて合意を得ておくことが重要です