監視とアラートシステム

[更新日:2025年09月30日]

包括的監視の実装

システム監視

システム監視により、システムの健康状態を多角的に監視し、問題の早期発見と予防保全を実現します。

監視項目は以下のとおりです。

  • リソース監視: CPU、メモリ、ディスク、ネットワークの使用状況。各リソースの使用率を継続的に監視し、閾値を超えた場合にアラートを発出する

  • プロセス監視: 重要なサービスの稼働状況確認。Webサーバやデータベースなどのクリティカルなプロセスが正常に動作していることを監視する

  • ログ監視: エラーログや異常パターンの検知。アプリケーションログやシステムログを解析し、エラーパターンや異常な動作を自動検知する

また、機械学習を活用した異常検知により、従来のルールベースでは発見できない問題も特定できます。

アプリケーション監視

アプリケーション監視では、アプリケーションレベルでの詳細な監視により、ユーザ体験に直結する問題を迅速に特定します。

監視要素は以下のとおりです。

  • APM(Application Performance Monitoring): アプリケーション性能の詳細監視。各機能の応答時間、スループット、エラー率を詳細に監視し、性能劣化の兆候を早期に検知する

  • トランザクション追跡: 処理の流れと性能ボトルネックの特定。ユーザのリクエストが複数のサービスを経由する場合の処理フローを追跡し、遅延の発生箇所を特定する

  • エラー率監視: 異常な失敗率の早期検知。通常時のエラー率をベースラインとして設定し、統計的に有意な増加を検知する

また、分散トレーシングにより、マイクロサービス環境での問題切り分けを効率化します。

ユーザ体験監視

ユーザ体験監視により、エンドユーザの視点からサービス品質を監視し、実際のユーザ体験の向上を図ります。

監視手法は以下のとおりです。

  • 外形監視: エンドユーザ視点でのサービス可用性確認。世界各地の監視ポイント(実際のユーザがいる場所を想定)から定期的にサービスにアクセスし、実際のユーザが体験する可用性とパフォーマンスを測定する

  • レスポンス時間測定: ユーザ体験品質の定量的評価。ページ読み込み時間、API応答時間、データベースクエリ時間などを継続的に測定し、ユーザ体験品質を定量化する

  • 機能テスト: 重要機能の継続的な動作確認。ユーザ登録、ログイン、決済など重要な機能が正常に動作することを自動テストで継続的に確認する

また、パフォーマンス予算の設定により、劣化時の自動アラートを実現します。

アラート設計の最適化

適切な閾値設定

適切な閾値設定により、効果的なアラート運用のため、データに基づいた適切な閾値設定と継続的な調整を行います。

設定手法は以下のとおりです。

  • ベースライン確立: 正常時の性能データに基づく基準値設定。過去の一定期間の運用データを統計分析し、各メトリクスの正常範囲を数学的に算出する

  • 段階的アラート: 警告レベルから緊急レベルまでの段階的通知。Warning、Critical、Emergencyといった段階別のアラートレベルを設定し、段階に応じて通知先と対応の緊急度を変更する

  • 誤検知最小化: 不要なアラートによる警戒疲れの防止。統計的手法やML(機械学習)を活用してノイズを除去し、真に対応が必要なアラートのみを通知する

また、閾値を動的に設定することにより、季節性や曜日による変動パターンに対応します。

エスカレーション設計

エスカレーション設計により、24時間365日の安定したサービス提供のため、効果的なエスカレーション体制を構築します。

体制要素は以下のとおりです。

  • 担当者ローテーション: 24時間365日の対応体制確保。プライマリ、セカンダリ、エスカレーション担当者をローテーションし、常に対応可能な体制を維持する

  • 自動エスカレーション: 未対応時の上位者への自動通知。初回アラートから規定時間内で対応がない場合、自動的に上位者にエスカレーションする

  • コミュニケーション: 関係者間の効果的な情報共有。SlackやMicrosoft Teamsを活用した専用チャンネルで、リアルタイムの情報共有を実現する

また、透明性のある障害対応により、ステークホルダーとの信頼関係を維持します。

参考リンク

  • シンプル監視 :リソース監視やプロセス監視、ログ監視など、システムの包括的な監視を実現するサービス