信頼性設計の基本原則
[更新日:2025年09月30日]
クラウドにおける信頼性とは
クラウド環境において信頼性の高いシステムを構築することは、従来のオンプレミス環境とは根本的に異なるアプローチが必要です。従来のシステムでは高性能なサーバや冗長化された機器を用いて故障を予防することに重点を置いていました。クラウドにおいては障害は発生し得るものとして受け入れ、その影響を最小限に抑制することが重要な考え方となります。
クラウドにおける信頼できるシステムの特徴は以下のとおりです。これらの要素を適切に組み合わせることで、ビジネス要件に応じたコストと性能のバランスを取りながら、信頼性の高いクラウドシステムを実現できます。
耐障害性: 障害が発生した際に迅速に回復し、最小限のサービス停止とデータ損失で継続的に稼働できる
高可用性: 計画的または予期しない停止を極力回避し、常に安定したサービスを提供できる
災害復旧対応: 地域的な災害や大規模障害から復旧できる設計を持つ
設計プロセスの6つのステップ
さくらのクラウドでシステムを設計する際には、以下の6つのステップに従って信頼性を組み込みます。このステップは相互に関連し合い、継続的な改善サイクルを形成します。
要件の明確化: ビジネス要件とワークロードの特性に基づいて可用性と復旧に関する具体的な要件を定義する
設計原則の適用: 実績のある設計原則を採用し、システム内で想定される障害点を特定して、障害時の振る舞いを明確に定義する
検証とテスト: 障害のシミュレーション、計画的なフェイルオーバーの実行、復旧プロセスの検証を定期的に実施する
継続的なデプロイメント: 信頼性が高く再現可能なデプロイメントプロセスを確立し、可能な限り自動化を進める
監視とアラート: システムの健全性を継続的に監視し、問題の早期発見と潜在的なリスクの把握を行う
インシデント対応: 障害発生時の対応手順を事前に定義し、確立された戦略に基づいて迅速に対処する
各ステップにおいては技術的な実装だけでなく、組織的な準備も重要な要素となります。人材育成・プロセス改善・ツール選定を合わせて考えることで、真に実効性のある信頼性システムを実現できます。