FortiGate IPsecVPN(Site to Site)設定例

[更新: 2024年2月15日]

1. 概要

弊社による検証データの一部を公開した記事掲載となります。参考までにご利用ください。

注釈

お客様個別の要件定義、設計、開発・設定補助に関するサポートは、FortiGateVMのライセンスサービスに含まれません。上記、ご注意ください。


1.1 検証条件

  • 石狩リージョン <-> 東京リージョン間をSite-to-site VPNにより接続した設定例です。
  • ネットワーク環境は、さくらのクラウドの環境に左右されます(プラットフォームにより許容されるMACアドレス、VLAN、パケットなど)。
  • FortiGateは、GUIとCLIのサポートとなります。掲載はCLI、GUIを適宜使い分け掲載いたします。
  • 本掲載により利用された検証環境のFortiOSは、両系ともに7.0.12です。
  • コマンドの一部は、<>記載により抽象化、強調記載をします。実際に入力を行う際は<>を削除、実際に入力する値に置き換えください。
  • ネットワークの初期設定は、本TIPSでは省略いたします。

1.2 構成図

石狩第一ゾーン(HQ)、東京第1ゾーン(BRANCH)に其々FortiGateVMとWindows Serverを配置した環境になります。

構成図

fortigatetips6-01.png

基本設定項目

対象機器名 インターフェース IPアドレス
石狩第一ゾーン(HQ) FortiGateVM Port1(#NIC0) ルーター+スイッチ/28 IPAddress A1
石狩第一ゾーン(HQ) FortiGateVM Port1(セカンダリIPアドレス)(#NIC0) ルーター+スイッチ/28 IPAddress A2
石狩第一ゾーン(HQ) FortiGateVM Port2(#NIC1) 192.168.1.1/24
東京第1ゾーン(BRANCH) FortiGateVM Port1(#NIC0) ルーター+スイッチ/28 IPAddress A’1
東京第1ゾーン(BRANCH) FortiGateVM Port1(セカンダリIPアドレス)(#NIC0) ルーター+スイッチ/28 IPAddress A’2
東京第1ゾーン(BRANCH) FortiGateVM Port2(#NIC1) 192.168.2.1/24
石狩第一ゾーン(HQ) Windows Server イーサネット1(#NIC0) 192.168.1.10/24
東京第1ゾーン(BRANCH) Windows Server イーサネット1(#NIC0) 192.168.2.10/24

注釈

事前にネットワークの初期設定、ファイアウォールは設定済みです。


2. VPNの設定

本TIPSで解説する設定は、設定コストが低いGUIで行います。CLIは一部の確認のみに利用します。

事前に省略する設定

下記は、他TIPSに於いても解説済みのため記載を省略いたします。

  • FortiGateVM インターフェース(Port1,Port2)にルータ+スイッチ IPアドレスを設定
  • FortiGateVM ルータ+スイッチ/28 ゲートウェイアドレスに関する経路設定
  • Windows Server のIPアドレス、ゲートウェイアドレス設定
  • FortiGateVMのホスト名、タイムゾーン、表示機能などの基本設定

2.1 VPNウィザードによる初期設定

GUIのメニュー画面よりVPNウィザードを呼び出し初期設定を開始します。

VPN作成ウィザードは、FortiOS内に標準準備されるテンプレートを利用した設定です。

次の設定順に進み、初期設定を完結させます。

VPN >>> IPsecウィザード


2.1.1 VPNセットアップ(VPN Setup)

VPN設定の名前、テンプレートなどの基本情報を指定します。

IPsecウィザード(VPN Creation Wizard)

fortigatetips6-02.png

基本参考設定 石狩第一ゾーン(HQ) FortiGateVM

下記は参考例の設定内容です。

設定項目名 参考例
名前(Name) IS
テンプレートタイプ(Template type) Site to Site
NAT設定(NAT configuration) このサイトはNAT越し(This site is behind NAT)
リモートデバイスタイプ(Remote device type) FortiGate

基本参考設定 東京第1ゾーン(BRANCH) FortiGateVM

下記は参考例の設定内容です。

設定項目名 参考例
名前(Name) TK
テンプレートタイプ(Template type) Site to Site
NAT設定(NAT configuration) このサイトはNAT越し(This site is behind NAT)
リモートデバイスタイプ(Remote device type) FortiGate

注釈

名前(Name)は、VPN名、ファイアウォールポリシー名、アドレス名に利用されます。

重要

クラウド環境では、上位のネットワーク(クラウドプラットフォーム)が存在します。 このサイトはNAT越し(This site is behind NAT) を選択します。

注意

他機器でも接続は可能ですが、同メーカー機器同士を配置、接続がお勧めです。


2.1.2 認証(Authentication)

VPNの通信を確立するための、アドレス情報、インターフェース、事前共有鍵を設定します。

認証(Authentication)

fortigatetips6-03.png

基本参考設定 石狩第一ゾーン(HQ) FortiGateVM

下記は参考例の設定内容です。

設定項目名 参考例
リモートデバイス(Remote device) IPAddress A’1
発信インターフェース(Outgoing Interface) Site to Site
認証方式(Authentication method) 事前共有鍵(Pre-shared-Key)
事前共有鍵(Pre-shared key) 6 文字を入力してください。(デフォルト)

基本参考設定 東京第1ゾーン(BRANCH) FortiGateVM

下記は参考例の設定内容です。

設定項目名 参考例
リモートデバイス(Remote device) IPAddress A1
発信インターフェース(Outgoing Interface) Site to Site
認証方式(Authentication method) 事前共有鍵(Pre-shared-Key)
事前共有鍵(Pre-shared key) 6 文字を入力してください。(デフォルト)

注釈

パスワードは、システムのパスワードポリシーに適合する文字入力が必要です。


2.1.3 ポリシー & ルーティング(Policy & Routing)

サイト間で接続するローカルネットワークの宛先を指定します。

ポリシー & ルーティング(Policy & Routing)

fortigatetips6-04.png

基本参考設定 石狩第一ゾーン(HQ) FortiGateVM

下記は参考例の設定内容です。

設定項目名 参考例
ローカルインターフェース(Local interface) Port2
ローカルサブネット(Local subnets) 192.168.1.0/24
リモートサブネット(Remote Subnets) 192.168.2.0/24
インターネットアクセス(Internet Access) NONE

基本参考設定 東京第1ゾーン(BRANCH) FortiGateVM

下記は参考例の設定内容です。

設定項目名 参考例
ローカルインターフェース(Local interface) Port2
ローカルサブネット(Local subnets) 192.168.2.0/24
リモートサブネット(Remote Subnets) 192.168.1.0/24
インターネットアクセス(Internet Access) NONE

2.1.4 設定の確認(Review Settings)

項目2.1.1~2.1.3の内容により作成される各設定一覧を確認します。

確認後、CREATEを入力することで作成が開始されます。

作成完了後は、緑のポップアップにより完了が報告されます。

注釈

CLIはウィザードの様な機能はありません。すべて個別に設定が必要になります。

重要

経路設定(Static Route)、ファイアウォールポリシーは、自動で作成されます。


3. 設定の変更

項目2.により作成されたVPNトンネルの構成は、詳細な設定はされません。

カスタムトンネルへコンバートを入力することで、ウィザードで作成したトンネル情報を編集します。

VPN >>> IPsec トンネル >>> VPNトンネル編集 >>> カスタムトンネルへコンバート

IPsec トンネル(IPsec Tunnnel)画面

fortigatetips6-05.png

3.1. VPNのトンネル情報の修正

テンプレートにより作成されたVPNの設定は、セカンダリIPアドレスの利用、暗号化スイーツ、KeepAliveの設定はありません。

このため作成したVPNを下記の様に変更、設定を追加します。

注釈

各FortiGateVMに同じ設定を実施します。


3.1.1 カスタムトンネルへコンバートの利用

カスタムトンネルへコンバートを開始することで、詳細なトンネル情報の設定が可能です。

参考例では、下記の設定を追加、修正しました。

VPNトンネルの編集(Edit VPN Tunnel)(HQ,BRANCH)画面

注釈

画像は、ローカルゲートウェイ(セカンダリIPアドレス)を設定済です。

フェーズ1 プロポーザル 高度な設定

設定項目名 参考例
暗号化 AES128
認証 SHA1
Diffie-Hellmanグループ 14,5,2

フェーズ2 プロポーザル 高度な設定

設定項目名 参考例
暗号化 AES128
認証 SHA1
Diffie-Hellmanグループ 14,5,2
自動鍵キープアライブ 有効

3.1.2 VPNトンネルの有効化

IPsec トンネル画面よりトンネルステータスを表示、ステータスをUPに変更します。

トンネルのステータスに関する設定は、下記のメニュー順に操作、各トンネルのステータスを右クリックにより表示します。

VPN >>> IPsec トンネル >>> IPsec

IPsec画面

注釈

全てのフェーズでUPすることで、正常にVPNが稼働します。設定に誤りが無ければ各ローカルネットワークの端末からpingなどの応答が返されます。


3.1.3 ダッシュボードにIPsec モニターの追加

ダッシュボードに項目3.1.2に表示したIPsecを追加することが可能です。

ダッシュボードの追加ボタンによりIPsecを指定、追加します。


3.1.4 VPNロケーションの確認

Geoipを参照、リモートゲートウェイのIPアドレス所在地をMAP表示します。

下記のメニュー順に操作、MAPを表示します。

VPN >>> VPN ローケーションマップ

VPN ローケーションマップ 画面

注釈

GeoIPを参照します。このため所在地の精度は保証されません。


3.2 セカンダリIPアドレスの利用

FortiGateVMのセカンダリIPアドレスをリモートピアに指定する際は、項目3.1.1のVPNトンネル編集画面の

ネットワーク 項目のローカルゲートウェイを有効化、セカンダリIPアドレスを指定します。

また、対抗ピアのFortiGateVMのリモートゲートウェイのIPアドレスをセカンダリIPアドレスに変更します。

注釈

事前にセカンダリIPアドレスをインターフェースに設定する必要があります。


4. 各種VPNトンネルの確認コマンド

下記はVPNに関する情報を確認するコマンドです。


4.2 FortiGateの確認コマンド

get vpn ike gateway

IS # get vpn ike gateway

vd: root/0
name: IS
version: 1
interface: port1 3
addr: <石狩第一ゾーン(HQ) FortiGateVM(ルーター+スイッチ/28 IPAddress A1)>:<IKEPort> -> <東京第一ゾーン(Branch) FortiGateVM(ルーター+スイッチ/28 IPAddress A'1)>:<IKEPort>
created: 368s ago
peer-id: <対向先IPアドレス>
peer-auth: no
IKE SA  created: 2/2  established: 2/2  time: 2090/2095/2100 ms
IPsec SA  created: 1/1  established: 1/1  time: 20/20/20 ms

  id/spi: 9 08274fb062c50b99/cad8e55f625dcaba
  direction: responder
  status: established 368-366s ago = 2090ms
  proposal: aes-128-sha1
  key: <パスワード>
  lifetime/rekey: 86400/85763
  DPD sent/recv: 00000000/00000002

  id/spi: 8 8d98a7055eddd342/fd55c835a1f6c61f
  direction: initiator
  status: established 368-366s ago = 2100ms
  proposal: aes-128-sha1
  key: <パスワード>
  lifetime/rekey: 86400/85733
  DPD sent/recv: 00000000/00000000

注釈

上記はVPN接続が成功(established)のコマンド結果です。

get vpn ipsec tunnel summary

IS # get vpn ipsec tunnel summary
'IS' <対向先IPアドレス>(ルーター+スイッチ/28 IPAddress A'1)>:0  selectors(total,up): 1/1  rx(pkt,err): 15/0  tx(pkt,err): 15/1

注釈

上記はVPN接続が成功(selectors(total,up): 1/1)のコマンド結果です。


4.3 ポリシーベース

ポリシーベースのIPsecをGUIにより操作する際は、表示機能設定により機能表示を有効化する必要があります。

下記のメニュー順に操作、ポリシーベース IPsec VPNを有効化します。

システム >>> 表示機能設定

表示機能設定 画面


4.4 トラブルシューティング

VPNトンネルはVPN機器同士の同期によりステータスのUP,Downをします。このため一部の設定が意図通りで無くとも成立します。

VPNは成立、ローカルネットワーク間のアクセスが出来ない等の際は、経路設定やファイアウォールポリシー、NAT、クライアント端末や各拠点ネットワークを確認ください。

Troubleshooting Tip: Troubleshooting IPsec Site-to-Site Tunnel Connectivity

https://community.fortinet.com/t5/FortiGate/Troubleshooting-Tip-Troubleshooting-IPsec-Site-to-Site-Tunnel/ta-p/195672

Troubleshooting Tip: IPsec VPN is up but network is not reachable

https://community.fortinet.com/t5/FortiGate/Troubleshooting-Tip-IPsec-VPN-is-up-but-network-is-not-reachable/ta-p/192887