Oracle Databaseからの移行
[更新:2026年4月3日]
BYOLでも解説したとおり、Oracle Databaseを使用している環境では、ライセンスの観点からさくらのクラウドへの直接移行はできません。以下の2つの方針を検討してください。
選択肢1:OCI + さくらのクラウド(OCX接続)
Oracle DatabaseをOracle Cloud Infrastructure(OCI)に移行し、その他のシステムをさくらのクラウドに配置する構成です。OCX(Oracle Cloud Exchange)接続を利用することで、さくらのクラウドとOCIを低遅延で接続できます。
OCX接続とは
さくらインターネットでは、クラウド接続サービスを通じて、各種パブリッククラウドとの専用線接続を提供しています。Oracle Cloudとの接続には、Oracle社が提供するFastConnect経由での接続が可能です。さくらのクラウドと接続するにはプライベートリンク for BBIXを使用します。
接続方法の例
プライベートリンク for BBIX、ハイブリッド接続、OCXを契約します
データセンターからOracle FastConnectを経由してOCIに接続
この構成により、インターネットを経由しない低遅延・高セキュリティな接続を実現できます。
メリット
ライセンスの有効活用 OCIは Oracle社の「Authorized Cloud Environments」であり、BYOLが明示的にサポートされています。既存ライセンスを有利な条件で持ち込めます。
Oracle製品に最適化された環境 OCIはOracle Database向けに最適化されており、高い性能と可用性を実現できます。
柔軟な構成 データベース以外のコンポーネントはさくらのクラウドで運用できるため、コストと性能のバランスを取りやすくなります。
国内データセンター OCIは東京・大阪リージョンを提供しており、さくらのクラウドとの間で低遅延な接続が可能です。
デメリット
マルチクラウド構成の複雑さ 2つのクラウドサービスを利用するため、運用管理が複雑になります。
追加の接続コスト 専用線接続のための追加コストが発生します。
OCIの習熟が必要 OCIの操作や運用ノウハウの習得が必要です。
移行手順の概要
OCIの契約・環境準備
OCIアカウントの作成
VCN(Virtual Cloud Network)の設定
Oracle Databaseの構築(Database Cloud Service またはCompute上のDatabase)
ネットワーク接続の構築
さくらのクラウドとOCIを接続するための専用線・VPN設定
ルーティング、ファイアウォールの設定
データベース移行
Oracle Data Pumpによるエクスポート・インポート
または Oracle GoldenGate等によるレプリケーション
アプリケーションの接続先変更
さくらのクラウド上のアプリケーションからOCI上のOracle Databaseへ接続するよう設定変更
動作確認・切り替え
接続テスト、性能テスト
本番切り替え
選択肢2:さくらの専用サーバ PHY / ハウジング
物理サーバを占有する形態を選択することで、従来のオンプレミスと同様のライセンスカウントルールを適用できます。
さくらの専用サーバ PHYとは
さくらの専用サーバ PHYは、物理サーバをお客様専用で提供するサービスです。仮想化環境ではなく、物理リソースを占有するため、Oracle製品のライセンスを従来どおりの計算方法で適用できます。
主な特徴
物理サーバを専有利用
高性能なCPU、大容量メモリを搭載したサーバを選択可能
ローカルストレージまたは外部ストレージを利用可能
さくらのクラウドとの閉域網接続が可能
ハウジングとは
ハウジングは、お客様が所有するサーバ機器をさくらインターネットのデータセンターに設置するサービスです。
主な特徴
既存のサーバ機器をそのまま継続利用できる
ライセンスの取り扱いを変更する必要がない
電源、空調、ネットワーク、物理セキュリティをデータセンターに任せられる
さくらのクラウドとの閉域網接続が可能
メリット
ライセンスカウントが明確 物理サーバのコア数に基づいてライセンスをカウントするため、従来どおりの計算方法を適用できます。Oracle社の「Authorized Cloud Environments」問題を回避できます。
既存ライセンスの継続利用 現在保有しているOracle製品のライセンスをそのまま使用できます。
高い性能 物理サーバを専有するため、仮想化オーバーヘッドがなく、高い性能を発揮できます。データベースワークロードに適しています。
さくらのクラウドとの連携 閉域網接続により、さくらのクラウド上のシステムと低遅延・高セキュリティで通信できます。 特に専用サーバPHYとの接続はブリッジ接続が可能(ハウジングではハイブリッド接続のみ)で、オンデマンドによる申し込みが可能かつ初期費用も発生しません。
デメリット
物理サーバの制約 スケールアップ・ダウンの柔軟性はクラウドより低くなります。
初期費用 ハウジングの場合、物理サーバの購入費用が必要です。PHYの場合は月額費用に含まれます。
運用負荷 ハウジングの場合、物理サーバの運用管理(障害対応、パーツ交換等)が必要になる場合があります。
移行手順の概要
さくらの専用サーバ PHYの場合
サーバの選定・契約
Oracle Databaseの要件に適したスペックのサーバを選定
コア数、メモリ容量、ストレージ容量を考慮
OSのインストール
Oracle Linux 、対応するLinuxディストリビューション、Windows Serverをインストール
Oracle Databaseの前提パッケージをインストール
Oracle Databaseのインストール
Oracle Databaseソフトウェアをインストール
必要なパッチを適用
ネットワーク設定
さくらのクラウドとの閉域網接続を設定
ファイアウォール、ルーティングを設定
データ移行
Oracle Data Pumpによるエクスポート・インポートまたは RMAN によるバックアップ・リストア
大規模データの場合は、Data Guardによるレプリケーションも検討
動作確認・切り替え
アプリケーションからの接続テスト
性能テスト
本番切り替え
ハウジングの場合
ラック・回線の契約
必要なラックスペース、電源容量、ネットワーク回線を契約
サーバの搬入・設置
お客様所有のサーバ機器をデータセンターに搬入
ラックへの設置、配線
ネットワーク設定
さくらのクラウドとの閉域網接続を設定
データ移行
既存環境からデータを移行
物理サーバをそのまま移設する場合は、設定変更のみ
動作確認・切り替え
さくらのクラウドとの接続方法
PHYまたはハウジング環境とさくらのクラウドを接続するには、以下の方法があります。
接続方法 |
特徴 |
適したケース |
|---|---|---|
ブリッジ接続 |
さくらのクラウドのスイッチ(L2)にPHY/ハウジング直接接続し、同一のL2セグメントを構成 |
シンプルな構成、低遅延を重視 |
ハイブリッド接続 |
お客様設備とさくらインターネットの各種サービスやゾーン間を閉域網でL2接続。ハウジングとさくらのクラウドの接続はハイブリッド接続のみ |
複雑なネットワーク構成が必要な場合 |
ローカルルータ |
L3レベルでの接続、ルーティング制御が可能 |
複雑なネットワーク構成が必要な場合 |
Oracle Databaseの移行方法
Oracle Databaseのデータ移行には、以下の方法があります。要件に応じて適切な方法を選択してください。
Data Pump(エクスポート・インポート)
最も一般的なOracle Databaseの移行方法です。
特徴
論理バックアップのため、異なるプラットフォーム間でも移行可能
スキーマ単位、テーブル単位での移行も可能
大規模データベースでは時間がかかる
RMAN(Recovery Manager)
物理バックアップによる移行方法です。
特徴
大規模データベースでもData Pumpより高速
同一プラットフォーム(またはトランスポータブル対応)が前提
バックアップからのリストアと同様の手順で実施可能
Data Guard
レプリケーション機能を使用した移行方法です。
特徴
スタンバイデータベースを構築し、同期を取りながら移行
ダウンタイムを最小化できる
移行作業中もリアルタイムでデータ同期が可能
構築・運用の複雑さは増す
GoldenGate
Oracle社が提供するレプリケーションツールです。
特徴
異種データベース間のレプリケーションも可能
ダウンタイムを極小化できる
追加ライセンスが必要