NFSからの移行

[更新:2026年4月3日]

オンプレミス環境でNFSによる共有ストレージを使用している場合、さくらのクラウドの「NFSアプライアンス」への移行を検討します。

大容量データの保管やバックアップ用途では、さくらのクラウドのオブジェクトストレージも有効な選択肢です。

NFSアプライアンスとは

NFSアプライアンスは、さくらのクラウドが提供するマネージドNFSサービスです。NFSサーバの構築・運用をさくらのクラウドに任せることができます。

NFSアプライアンスの主な特徴

項目

内容

プロトコル

NFSv3、NFSv4

容量プラン

SSDプラン:20GB/100GB/500GB/1TB/2TB/4TB標準プラン(HDD):100GB / 500GB / 1TB / 2TB / 4TB / 8TB / 12TB(東京第2ゾーンおよび石狩第3ゾーンの標準プラン(HDD)は2TBから)

接続方法

さくらのクラウドのスイッチ経由(プライベートネットワーク)

耐障害性

基盤側で自動サポートされています 設備障害時の対応について

データバックアップ

クローン機能により任意の時点での複製が可能

NFSアプライアンスの作成手順

  1. スイッチの作成

    • NFSアプライアンスを接続するスイッチを作成(既存のスイッチを使用可能)

  2. NFSアプライアンスの作成

    • コントロールパネルから「アプライアンス」→「NFS」を選択

    • 接続するスイッチを選択

    • プラン(容量)を選択

    • IPアドレスを設定

  3. 接続情報の確認

    • 作成完了後、NFSサーバのIPアドレスとエクスポートパスを確認

  4. クライアントからのマウント

# Linux クライアントからのマウント例
mount -t nfs [NFSアプライアンスのIP]:/export /mnt/nfs
echoecho '[NFSアプライアンスのIP]:/export /mnt/nfs nfs defaults 0 0' >> /etc/fstab

移行パターン

オンプレミスのNFSストレージからNFSアプライアンスへの移行方法を解説します。

パターン1:rsyncによる段階的同期(推奨)

rsyncを使用して、オンプレミスのNFSストレージからNFSアプライアンスへデータを段階的に同期する方法です。

手順の概要

  1. NFSアプライアンスの作成とマウント

  • 必要な容量のNFSアプライアンスを作成

  • 移行作業用サーバからマウント

  1. 初回の全量同期

# オンプレミスNFSと新NFSアプライアンスの両方をマウント
mount -t nfs old-nfs-server:/share /mnt/old
mount -t nfs new-nfs-appliance:/export /mnt/new

# rsync で全量コピー
rsync -avz --progress /mnt/old/ /mnt/new/
  1. 差分同期の実行

# 切り替え直前に差分同期を実行
rsync -avz --progress --delete /mnt/old/ /mnt/new/
  1. 切り替え

  • アプリケーションを停止

  • 最終の差分同期を実行

  • 各サーバのマウント先をNFSアプライアンスに変更

  • アプリケーションを起動

メリット

  • ダウンタイムを最小化できる

  • 移行元データを保持したまま作業できる

  • 進捗を確認しながら段階的に移行できる

デメリット

  • VPN等でオンプレミス環境とさくらのクラウドを接続する必要がある

  • 大容量データの場合、初回同期に時間がかかる

パターン2:中間サーバ経由での移行

オンプレミス環境とさくらのクラウドが直接接続されていない場合に、中間サーバを経由してデータを移行する方法です。

手順の概要

  1. オンプレミス環境でデータをアーカイブ
# tar + gzip でアーカイブ作成
tar czvf nfs-backup.tar.gz /path/to/nfs/data

# 分割が必要な場合
tar czvf - /path/to/nfs/data | split -b 4G -nfs-backup.tar.gz.
  1. さくらのクラウドへファイル転送

# scp での転送 scp
scp nfs-backup.tar.gz* user@sakura-server:/tmp/

# または、オブジェクトストレージ経由(石狩第1サイトの場合)
aws s3 cp nfs-backup.tar.gz \
s3://<バケット名>/migration/ \
--endpoint-url https://s3.isk01.sakurastorage.jp \
--region jp-north-1
  1. NFSアプライアンスへの展開

# アーカイブを展開
    cd /mnt/nfs
tar xzvf /tmp/nfs-backup.tar.gz

# 分割ファイルの場合
cat /tmp/nfs-backup.tar.gz.* | tar xzvf -
  1. 各サーバでのマウント設定変更

  • マウント先をNFSアプライアンスに変更

メリット

  • VPN接続が不要

  • ネットワーク帯域に依存しない

デメリット

  • ダウンタイムが長くなる傾向がある

  • アーカイブ・展開の作業時間が必要

代替手段:サーバ上にNFSサーバを構築

NFSアプライアンスを使用せず、さくらのクラウドのサーバ上にNFSサーバを構築する方法もあります。

メリット

  • 柔軟なカスタマイズが可能(NFSバージョン、オプション設定等)

  • 他のサービス(Samba等)との併用が容易

  • NFSアプライアンスの容量プランに縛られない

デメリット

  • NFSサーバの構築・運用管理が必要

  • 冗長化を自前で設計・構築する必要がある

  • 障害対応、バックアップの運用負荷が増加

NFSサーバ構築手順(Linux)

# NFS サーバのインストール(Ubuntu/Debian)
apt-get update
apt-get install nfs-kernel-server

# NFS サーバのインストール(RHEL系)
yum install nfs-utils

# エクスポート設定
echo '/export 192.168.0.0/24(rw,sync,no_subtree_check)' >> /etc/exports

# サービス起動
systemctl enable nfs-server
systemctl start nfs-server

# エクスポート反映
exportfs -ra

NFSアプライアンス vs 自前NFSサーバ:比較表

項目

NFSアプライアンス

自前NFSサーバ

構築の容易さ

◎(数クリックで作成)

△(サーバ構築が必要)

運用負荷

◎(マネージドサービス)

△(自前で運用管理)

カスタマイズ性

△(設定項目に制限)

◎(自由にカスタマイズ可能)

容量

100GB〜12TB(プランによる)

ディスクプランプランによる

冗長性

◯(基盤側で冗長化)

◎(基板側で冗長化+自前で冗長化可能)

コスト

プランに応じた費用

サーバ+ディスク費用

バックアップ

クローン機能を利用

アーカイブ機能を利用

移行先の選定フロー

NFS移行先の検討
    │
    ├─ 運用負荷を軽減したい
    │      │
    │      └─ NFSアプライアンスを選択
    │         ※容量プラン(最大12TB)に収まるか確認
    │
    ├─ 細かなカスタマイズが必要
    │      │
    │      └─ 自前NFSサーバを構築
    │         ※運用体制を確保
    │
    └─ 大容量(12TB超)が必要
           │
           ├─ 複数のNFSアプライアンスに分散
           │
           └─ 自前NFSサーバを構築
              または
              オブジェクトストレージの活用を検討

移行時の注意事項

  • NFS バージョンの確認 NFSアプライアンスはNFS v3およびNFS v4をサポートしています。

  • パーミッションの確認 NFS移行後、ファイルやディレクトリのパーミッション、所有者(UID/GID)が正しく維持されているか確認してください。

  • マウントオプションの見直し オンプレミス環境で使用していたマウントオプションを確認し、必要に応じてさくらのクラウド環境に合わせて調整してください。

  • 性能要件の確認 NFSアプライアンスの性能が要件を満たすか、事前に検証することを推奨します。高いI/O性能が必要な場合は、自前NFSサーバ(SSDディスク使用)も検討してください。

オブジェクトストレージの活用

大容量データの保管やバックアップ用途では、さくらのクラウドのオブジェクトストレージも有効な選択肢です。

オブジェクトストレージの特徴

項目

内容

互換性

Amazon S3互換API

容量

10TiB(1バケットあたり)

耐久性

高い耐久性(基盤側で冗長化済み)

アクセス方法

HTTPS経由(S3互換クライアント)

活用例

  • バックアップの保管先 サーバやNFSのバックアップをオブジェクトストレージに保管

  • 大容量データのアーカイブ アクセス頻度の低いデータをオブジェクトストレージに移動

  • 静的コンテンツの配信 画像、動画、ドキュメント等の配信元として活用

NFSとの使い分け

用途

NFS

オブジェクトストレージ

アプリケーションからの直接アクセス

△(S3 API経由)

複数サーバからの共有アクセス

容量

△(100GB - 4TB)

◯(最大10TiB/バケット)

バックアップ・アーカイブ

ランダムI/O