VPCルータのスタティックルート使用例

[更新: 2016年04月20日]

さくらのクラウドが提供するVPCルータにおいて、スタティックルート設定機能を追加しました。本記事では、実際の環境に近い構成例をもとに、スタティックルート機能を使用する場合を想定した設定例を記載しました。ぜひご参考ください。

[おしらせ][新機能]VPCルータでスタティックルートが設定できるようになりました https://cloud-news.sakura.ad.jp/2016/04/14/vpcrouter-static-route/

1.機能概要

スタティックルート機能は、指定したIPアドレスブロックのネクストホップを、VPCルータ配下にある任意の機器のIPアドレスに設定できる機能です。

この機能により、インターフェース接続時に指定するIPアドレスブロックとは別のIPアドレスブロックに対してもルーティング設定が行えるようになり、より柔軟なネットワーク構成が行えるようになります。

また、ハイブリッド接続サービスを利用することで、さくらのクラウド以外のサービス内に構築したプライベートネットワークをさくらのクラウドのVPCルータ配下のネットワークとして機能させることも可能です。

2.本記事で扱う構成例

本記事では、以下構成例をもとにスタティックルート機能の使用例についてご説明します。「さくらのクラウド」と「ハウジング」を両方契約しており、それぞれをハイブリッド接続でL2接続している環境を想定しています。

vpcrouter-static-route-tips-01.png

データセンターサービス(ハウジング・リモートハウジング) http://datacenter.sakura.ad.jp/

ハイブリッド接続 https://www.sakura.ad.jp/function/etc/hybrid.html

「さくらのクラウド」のプライベートIPセグメント192.168.3.0/24と、「ハウジング」のプライベートIPセグメント192.168.2.0/24間を通信できるよう設定を行います。

3.設定項目

設定が必要な項目は以下の通りです。

(1)VPCルータのスタティックルート設定

VPCルータに、ハウジングのプライベートIPセグメント宛てのスタティックルートを設定します。クラウド上のサーバのデフォルトゲートウェイはVPCルータのIP アドレスが設定されているものとし、VPCルータのスタティックルート機能で192.168.2.0/24宛てのルーティングを追加します。

vpcrouter-static-route-tips-02.png

(2)ハウジング側(お客様設備)のスタティックルート設定

ハウジング側機器に、クラウドのプライベートIPセグメント宛てのスタティックルートを設定します。今回の例では対象のサーバに192.168.3.0/24宛てのルーティングを追加します。

vpcrouter-static-route-tips-03.png

4.VPCルータのスタティックルート設定

設定したいVPCルータの設定画面より、「スタティックルート」タブを選択します。設定されているスタティックルート設定のリストが表示されるので、新たに追加する場合は「追加」ボタンをクリックします。

vpcrouter-static-route-tips-04.png

ダイアログボックスが表示されるので、「プリフィックス」と「ネクストホップ」を入力し、「追加」ボタンをクリックします。

vpcrouter-static-route-tips-05.png

ハウジング側(お客様設備)のスタティックルート設定

CentOS6.7における設定例を記載します。

192.168.1.0/24側のNICをeth0、192.168.2.0/24側のNICをeth1とした場合、ルーティング設定はeth1に対する設定ファイルを作成することになります。ルーティング設定ファイルroute-eth1を作成し、以下の通り記述し保存します。

# vi /etc/sysconfig/network-scripts/route-eth1

※下記行を記載

192.168.3.0/24 via 192.168.2.253

networkサービスを再起動します。

# /etc/init.d/network restart

5.動作確認

ping等で

  • ハウジング側サーバから192.168.3.0/24に属するサーバへの通信
  • クラウド側サーバから192.168.2.0/24に属するサーバへの通信

が確認できれば設定は完了です。

いかがでしたでしょうか。このようにサービス同士をネットワーク接続することで、ハウジングをメインで利用しつつ一時的にリソースを増やしたい場合などにクラウドを併用することができる等、インフラに柔軟性を持たせることができます。是非ご検討いただければと思います。