BCP・DR

[更新日:2019年9月4日]

概要

データセンタの可用性(システムが正常に継続して動作すること)は、自然災害や紛争による物理的被害、またはそれらによる停電やネットワーク遮断の可能性など様々な不可抗力による影響を受ける可能性が常にあり、ひとつのデータセンタ内に構成されるシステムだけで100%の稼働率を保証することは非常に困難な状況です。

そこで、クライアントやエンドユーザが実際に外部より接続するサーバ、消失してはならないデータなど、システムを構成する中でも重要な部分を地理的に十分に距離の離れた複数個所のデータセンタに分散配置し、ある1箇所のデータセンタが完全に機能停止に陥った場合でもサービスが継続し、データの消失が発生しない設計を行う考え方が一般的となっています。

ここではBCP(事業継続計画; 災害などにより事業が停止した際に迅速的に復旧するために備える手順)の策定や、それらの過程で必要となるDR(災害復旧; 災害時のシステム障害からの回復)の考えに基づくシステム設計に役立つさくらのクラウドの機能をまとめ、その利用方法について解説します。

参考: 各サービスの設置拠点

さくらインターネットが提供する各サービスごとに利用可能な拠点が異なります。DRを目的に複数サービスに跨って地理的な分散を取った構成を行う場合はご注意ください。詳しい情報は各サービスのサイトを参照ください。

  東京 大阪 石狩
さくらのクラウド ×
さくらのVPS
※for Windowsは東京のみ
専用サーバ
※高火力は石狩のみ
×
ハウジング

リージョンとゾーン

さくらのクラウドをはじめ、さくらのVPSや専用サーバにおいては、お客様サーバが実際に動作する物理的な位置を指し示す「リージョン」と「ゾーン」のふたつの概念を持ちます。これらはサービスが提供する範囲内でお客様が自由に選択することが可能であり、地理的な冗長・分散を考慮した構成を設計する際に重要なポイントとなります。

詳しくは リージョン・ゾーン のページを参照ください。

冗長化に便利なネットワーク機能

さくらのクラウド内のゾーンやさくらのVPS、専用サーバをL2接続する「ブリッジ」から、ハウジングサービスなどサービスを越えて相互接続が可能な「ハイブリッド接続」、さらには他社サービスである Amazon Web Service のネットワークと接続可能な「AWS接続」まで取り揃え、通常のサービス時における拠点・サービスに跨るシームレスな接続のみならず、大規模災害時のリソース保護にもご活用いただけます。

ブリッジ接続

複数のさくらのクラウドのリージョン、さくらのVPS、専用サーバをL2接続する仮想ネットワークです。各サービス内に設置されたローカルスイッチを相互接続し、プライベートネットワーク環境で相互に通信を行うことができます。詳しくは ブリッジ のページを参照ください。

ハイブリッド接続

さくらのクラウドをはじめ、さくらインターネットが提供する複数のサービス間をL2接続する仮想ネットワークです。クラウドで利用可能なリージョンを越えた地理分散が可能になり、DR・BPC対策としてより堅牢な構成を構築することが可能です。詳しくは ハイブリッド接続 のページを参照ください。

ローカルルータ

さくらのクラウドのスイッチや、さくらのVPS・さくらの専用サーバに接続されたローカルスイッチを、会員IDやクラウドアカウントを超えて相互にL3接続するアプライアンスです。詳しくは ローカルルータ のページを参照ください。

AWS接続オプション

Amazon Web Servicesが提供するAWS Cloudサービスへ直接接続するネットワークを提供するサービスです。これによりさくらのクラウド内の環境とお客様がAWS側に構築した環境を閉域網で安全に接続する事が可能になります。詳しくは AWS接続オプション のページを参照ください。

冗長化に便利なアプライアンス

冗長化構成を構築するにあたり、単純に同一構成のシステムを複数拠点に設置するのみでは解決しません。例えば

  • 障害が発生した際にそれを検知し、自動的に正常システムへ接続を切り替える
  • 異常発生に備えて定期的にバックアップを取得する

といった仕組みが必要となりますが、さくらのクラウドでは「アプライアンス」としてお客様側での面倒な設定作業が不要で必要な機能の追加が行える機能を提供しています。

GSLB

GSLBはGlobal Server Load Balancingの略で、複数リージョンに跨ったシステムなどをロードバランシングし、障害発生時に正常側へのアクセスのみに切り替えることが可能です。詳しくは GSLB のページを参照ください。

エンハンスドロードバランサ

HTTPまたはHTTPSの分散に特化したロードバランサです。ロードバランシング先のサーバはさくらのクラウドの他、 さくらのVPSさくらの専用サーバ など、さくらインターネットが提供する他サービスのサーバを設定可能です。GSLBと同様にロードバランシング先は定期的に疎通がチェックされ、ダウン判定されたサーバは自動的に分散先から除外されます。また、クライアント側の接続点となるエンハンスドロードバランサ自体が攻撃されダウンした場合に自動的にIPアドレスを変更する機能もあります。詳しくは エンハンスドロードバランサ のページを参照ください。

自動バックアップ

指定したディスクから定期的にアーカイブを取得します。バックアップは曜日ごとの指定や世代数を指定することが可能です。詳しくは バックアップ のページを参照ください。