技術概要
[更新:2025年10月23日]
概念とアーキテクチャ
AppRunは、コンテナイメージを用いてアプリケーションを簡単に構築・運用できるフルマネージドサービスです。シンプルな操作でアプリケーションをデプロイし、自動的なスケーリングと高可用性を実現します。
アプリケーションのバージョン管理やトラフィック管理機能を備え、段階的なデプロイやロールバックなど、本番環境に必要な機能を提供します。さらに、パケットフィルターによるアクセス制御やヘルスチェックによる死活監視など、セキュアで安定した運用を実現します。
用語説明
アプリケーション
AppRunの基本的なデプロイ単位です。以下の要素で構成されます。
基本情報
アプリケーションID - 自動的に採番される一意の識別子
アプリケーション名 - ユーザーが指定する識別名
状態 - 最新バージョンの状態を反映
公開URL - 作成時にアプリケーションにアクセスするための固有のエンドポイントを発行
アプリケーション設定
リクエストタイムアウト - サービスの応答待ち時間制限
ポート - アプリケーションが待ち受けるポート
オートスケーリング - インスタンス数の自動調整範囲
パケットフィルター - アクセス制限の設定
ログ・メトリクス - ログ機能およびメトリクス機能の設定
コンポーネント
コンテナの実行に必要な構成情報を定義する単位です。
デプロイソース設定
コンテナイメージの指定(現在はコンテナレジストリの指定のみ)
認証情報の設定
リソース設定
vCPU使用量の上限(0.1~1 コア)
メモリー使用量の上限(256MiB~2GiB)
実行環境設定
環境変数の定義
ヘルスチェックの設定(10秒ごとの監視)
バージョン
アプリケーションの構成情報を管理する仕組みです。
特徴
アプリケーションの構成情報の変更時に自動的に作成
最大5世代まで保持
各バージョンは独立して管理(編集不可)
上限を超えると古いバージョンから順に削除
ヘルスチェックの結果でバージョンステータスを更新
バージョンステータスでインスタンスの状態を確認可能
トラフィック管理
複数のバージョン間でアクセスを制御する機能です。
特徴
各バージョンに対して割合(%)を指定
最大4バージョンまで分散可能
複数バージョンの同時運用が可能
A/Bテストなどの段階的なデプロイに活用可能
インスタンス
コンポーネントの設定に基づいて作成される実行環境です。
動作
トラフィックが割り当てられたバージョンをもとに作成
エンドユーザーからのリクエストを処理
トラフィック量に応じたオートスケーリング
バージョン単位での管理
公開URLでアクセス可能
制限事項
CR版における主な制限事項について記載します。
アプリケーション制限
項目  | 
制限内容  | 
スコープ  | 
|---|---|---|
アプリケーション数  | 
最大5  | 
クラウドアカウントごと  | 
アプリケーション名の長さ  | 
1~255文字  | 
アプリケーションごと  | 
バージョン数  | 
最大5  | 
アプリケーションごと  | 
コンポーネント数  | 
1  | 
アプリケーションごと  | 
オートスケーリング  | 
1~10インスタンス  | 
アプリケーションごと  | 
トラフィック分散ターゲット数  | 
最大4  | 
アプリケーションごと  | 
パケットフィルタのIP制限  | 
最大5  | 
アプリケーションごと  | 
使用ポート  | 
使用可能範囲:1~65535   | 
アプリケーションごと  | 
コンポーネント制限
項目  | 
制限内容  | 
スコープ  | 
|---|---|---|
環境変数  | 
予約済みの環境変数があります。(例:PORT)   | 
コンポーネントごと  | 
環境変数の数  | 
最大50  | 
コンポーネントごと  | 
環境変数のキーの長さ  | 
1~128バイト  | 
変数ごと  | 
環境変数の値の長さ  | 
0~512バイト  | 
変数ごと  | 
インスタンス制限
項目  | 
制限内容  | 
スコープ  | 
|---|---|---|
vCPU  | 
0.1~1 コア  | 
インスタンスごと  | 
メモリー  | 
256MiB~2GiB  | 
インスタンスごと  | 
リクエストタイムアウト  | 
1~300秒  | 
インスタンスごと  | 
起動タイムアウト  | 
4分  | 
インスタンスごと  | 
同時リクエスト数(ハード)  | 
1000  | 
インスタンスごと  | 
同時リクエスト数(ソフト)  | 
100(デフォルト)  | 
インスタンスごと  | 
名前の一意性と削除制限
項目  | 
制限内容  | 
スコープ  | 
|---|---|---|
アプリケーション名の一意性  | 
アプリケーション名の重複不可  | 
同一ユーザー内  | 
コンポーネント名の一意性  | 
コンポーネント名の重複不可  | 
同一アプリケーション内  | 
バージョンの削除制限  | 
・トラフィック向き先に指定中のバージョン削除不可   | 
アプリケーションごと  | 
注釈
これらの制限値はCR版のものです。正式リリース後に緩和される予定のものも含みます。
システム予約のポートや環境変数は、サービスの内部処理のために確保されています。
アプリケーションの設定時には、これらの値を使用しないようご注意ください。