サービス利用上の留意点

[更新: 2020年8月31日]

「セキュアモバイルコネクト」を既存デバイスで利用したり、新規デバイスに組み込まれる方へご留意いただきたい内容です。

1. はじめに

本資料では、さくらのセキュアモバイルコネクトをご利用いただくうえで、安定した通信を実現いただくために考慮いただきたい設計・運用方針について記載しています。 IoT機器を開発・運用される際には、本資料を必ずご確認いただきますようお願いします。

モバイルネットワークのリソースは有限であり、通信が集中すると輻輳などの通信を阻害する事象が発生する場合がございます。 輻輳を検知した場合弊社はモバイルネットワーク保護のための規制を行う場合があり、その際に弊社が別途定める「基本約款 第3章」に則り、一時的にIoT機器が正常に通信できなくなる場合があります。

設定項目の有無やコマンドの詳細についてはモデムや通信モジュール、IoT機器によって異なります。 「3. さくらのセキュアモバイルコネクト特有の設定」をご確認いただき、ご不明点は各製品の製造元にお問い合わせください。

2. モデムや通信モジュールで適切に通信するために

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通信開始時には、モバイルネットワーク上では接続要求(Attach Request)を始めとするいくつかの制御信号が送信されます。 基地局や管理基盤等、モバイルネットワークを構成する要素の故障だけでなく、SIM登録の不備やIoT機器内部の異常等によってそれらの制御信号の送信に失敗する場合があります。

通信が失敗する状態でむやみに通信を試みると、電力やネットワークのリソースを消費するだけでなく、モバイルネットワーク側から一時的な制限を受ける場合もあります。 すぐに通信ができる状態にならない場合は、下記に示す考慮事項を踏まえた動作を行うようにしてください。

2-1. SIMが正しく認識できるよう設計する

SIMを正しく認識しないでIoT機器を動作させた場合、適切に通信サービスを受けることができないため、IoT機器を安定して運用させることができません。 SIMが正しく認識されているかどうかを確認できる仕組みを入れることを推奨します。

2-2. モバイルネットワーク接続時は接続先情報(APN等)を必ず指定する

接続先情報(APN等)を指定しなかった場合、適切に通信サービスを受けることができないため、IoT機器を安定して運用させることができません。 IoT機器がモバイルネットワークに接続・発信する際には、 SIMのデバイス接続と設定 > APN を参照のうえ送信する制御信号において必ず適切な接続先情報(APN等)を指定してください。

2-3. IoT機器の電源をOFFにする前にモバイルネットワークの切断を行う

IoT機器の電源をOFFにする際、モバイルネットワークから切断を行わないとセッション情報が保持され、次回の接続に影響を及ぼす場合があります。 そのため、再起動等の処理を組み込む際に明示的に電源をOFFにする場合はモバイルネットワークから切断を行うようにしてください。

2-4. IoT機器のファームウェア更新が行えるようにする

IoT機器の不具合対処や機能改善を円滑に行えるよう、モバイルネットワーク経由でファームウェア更新を実施できるようにすることを推奨します。 その際、更新ファイルの配信を自動化し、複数のIoT機器において並行でファームウェア更新を実施できることが望ましいですが、大量の複数IoT機器への一斉同時配信(全台一斉同時配信など)は控え、適切な輻輳対策を実施ください。

2-5. 単一のIoT機器から短時間に接続や発信を繰り返さない

単一のIoT機器において、以下の仕様は大量の通信制御が発生する場合があります。

  • イベント検知での一時的だが高頻度な通信
  • 高頻度なPolling等の定期的な通信
  • IP層で都度接続・切断を行っている

通信ができない場合の復旧方法は再送信や再接続といった方法がありますが、以下を考慮して実装することを推奨します。

  • リトライ間隔は10秒程度空けること
  • リトライの際にはExponential Backoff等の制御を実施すること
  • リトライ回数の上限を設けて、上限を超えたらリトライを停止すること
  • 通信ができなくなった通信層からリトライを開始し、順次下位の通信層でリトライを実施すること
  • それでも復旧しない場合はIoT機器の再起動を行うこと

2-6. 大量のIoT機器から同時に接続や発信しない

大量のIoT機器において、以下の操作を同時に実施すると大量の通信制御が発生する場合があります。

  • 電源ON/モバイルネットワークへの接続
  • モバイルネットワークから切断後の再接続
  • データの送信
  • データの再送信
  • 無線通信機能のON/OFF設定
  • IoT機器の再起動
  • 電源OFF

再接続や再起動を同時に行った場合でも、各IoT機器の接続や発信の開始タイミングをずらすためJitterを実装することを推奨します。 またデータ通信および再起動は、モバイルネットワークの混雑が起こりにくい未明~明け方の時間帯に実施することを推奨いたします。

3. さくらのセキュアモバイルコネクト特有の設定

さくらのセキュアモバイルコネクトは単一のSIMで複数のキャリアに接続可能になっています。 しかし、現在提供されているLTEモジュールの中にはそれらの登場や利用が想定されていない仕様となっているものも多く存在します。

そのため、ご利用のモデムによっては従来は不要だった動作を明示的に指定する必要があります。 本項目では、セキュアモバイルコネクトとLTEモジュールを使って開発する場合に留意すべき代表的な事項をまとめています。

3-1. SIMを登録し、通信できる状態にする

さくらのセキュアモバイルコネクトは一般的なSIMとは異なり、購入時点では有効化されておらず、ご登録から通信に関するいくつかの設定をお客様ご自身で実施いただく必要があります。

以下の作業が実施されていない場合、SIMは通信を行うことができません。

  • SIMをコントロールパネルに登録する
  • 登録されたSIMを有効化する
  • モバイルゲートウェイを作成する
  • モバイルゲートウェイに有効化されたSIMを追加する
  • 必要に応じてインターネットや内部ネットワークとの接続を設定する

具体的な手順は モバイルゲートウェイ > 新規作成 をお読みください。

3-2. ローミングを有効にする

さくらのセキュアモバイルコネクトは仕様上データローミングを利用します。 そのためローミングのオンオフ機能があるモジュールでは必ずデータローミングを「有効」にしてご利用ください。

3-3. 使用する通信方式をLTEに固定する

3Gデータ通信が可能なモジュールは3Gモバイルネットワークからの認証拒否により端末が圏外となり、端末を再起動するまでLTEを含めて接続ができなくなる場合があります。そのためLTE以外の通信方式を指定できるモジュールでは、通信方式を「LTEのみ」に固定し3Gの通信を一切行わないようにすることを推奨します。機器によってはテストモードから、「LTE Only」等に設定を行う必要がある場合がございます。テストモードへの切り替え方法は機器により異なるため、各機器の提供元へご確認ください。

3-4. アタッチタイプを明示的に指定する

さくらのセキュアモバイルコネクトは仕様上LTEでのデータ通信のみ提供しています。 3Gに存在したモバイル網接続の方式がLTEでは一部削除されていますが、多くのモジュールでは3Gとの互換を考慮し、LTEで使用されていないCSドメインへの接続を試みる設定が存在します。

このアタッチタイプの設定がLTEと3Gどちらの方式も試みる「combined EPS/IMSI attach」にしてしまうと、ハードウェアの仕様により、3Gの接続確立が失敗した際に予期せぬ挙動を行う可能性があります。 上記モジュールにおいてはアタッチタイプを明示的にLTEの方式のみを利用する「EPS attach」に設定し、LTEで使用されているPSドメインにのみ接続するようにしてください。

3-5. 使用するキャリアを明示的に指定する

SIMが複数キャリアに対応していても、LTEモジュールは単独キャリアの利用を前提としている場合があり、明示的に接続先を指定しないとデフォルト設定のキャリアへ接続を試みる場合があります。

また、別キャリアの接続に失敗した通信は不審として遮断される場合があるため、安定した通信の確立のためにキャリアの指定をプログラムとして実装することを強く推奨します。 キャリアを指定する際には「AT+COPS」コマンドをご利用ください。例は下記のとおりです。

SoftBank : AT+COPS=1,2,“44020” KDDI : AT+COPS=1,2,“44051” Docomo : AT+COPS=1,2,“44010”

ヒント

設定項目の有無やコマンドの詳細についてはモジュールによって異なります。ご不明点は製造元にお問い合わせください。