大量のアクセスを高速処理するWebサイト構成
[更新日:2025年09月30日]
現代のWebサイトは、時に予測不能な大量アクセスに晒されることがあります。さくらのクラウドの「大量のアクセスを高速処理するWebサイト構成」は、そのような状況下でも安定したパフォーマンスを維持するための最適解です(図4)。特に、イベントサイトやメディアサイト、Eコマースサイトなど、トラフィック変動が大きいWebサイトに有効な構成です。

高速処理構成のメリット
この構成の最大の強みは、「ウェブアクセラレータ」を中心とした、高速かつスケーラブルなコンテンツ配信能力です。主なメリットは以下のとおりです。
オリジンサーバの負荷軽減: ウェブアクセラレータ(CDN)がユーザからのリクエストを一度受け止め、キャッシュされたコンテンツを直接配信します。これにより、突発的なアクセス集中時でも、Webサイトのオリジンサーバがダウンするリスクを低減できます。
コンテンツ配信の高速化: 複数の国内データセンターに配置されたキャッシュサーバにより、ユーザに最も近い地点からコンテンツを配信します。これにより、地理的な距離による遅延(レイテンシ)を最小限に抑え、Webサイトの表示速度を劇的に向上させます。
HTTP/2対応: 「HTTP/2」に対応しています。複数のリクエストを同時に処理することで、Webコンテンツ配信の効率化と表示速度のさらなる向上を実現します。
主要な構成要素と連携
この構成は、主に以下のコンポーネントで成り立っています。
ウェブアクセラレータ(CDN)
この構成の中核をなすサービスです。静的コンテンツ(画像、CSS、JavaScriptファイルなど)のキャッシュ配信に特化させることで、オリジンサーバの負荷を劇的に軽減します。動的コンテンツはキャッシュせず、オリジンサーバへ直接リクエストを転送するよう設定します。
Webサーバとディスク(オリジンサーバ)
ウェブアクセラレータによって負荷が軽減されるため、比較的小規模なサーバ構成でも高いパフォーマンスを発揮できます。動的コンテンツの処理や、データベースとの連携を担当します。
データベース(オプション)
CMSやECサイトでは必須となります。高速な処理が求められる場合は、高IOPSのSSDディスクや、マネージドデータベースサービスの利用を検討してください。Webサーバとデータベースサーバ間の通信はプライベートネットワーク経由で行うことが推奨されます。
構築と運用における考慮事項
この構成を最大限に活かすためには、いくつかの注意点があります。
キャッシュ戦略の最適化
ウェブアクセラレータで何をキャッシュし、何をキャッシュしないかを明確に定義します。キャッシュの有効期限(TTL)を適切に設定し、コンテンツの鮮度と配信速度のバランスを取りましょう。
オリジンサーバの冗長化
ウェブアクセラレータが負荷を吸収しても、オリジンサーバ自体が単一障害点とならないよう、ロードバランサと複数のWebサーバを組み合わせた冗長構成を検討してください。オートスケール機能と組み合わせることで、オリジンサーバ群も柔軟にスケールさせることが可能です。
パフォーマンス測定と改善
Google Lighthouseなどのツールを使って、定期的にWebサイトの表示速度を測定し、パフォーマンスボトルネックを特定しましょう。画像最適化や、JavaScript/CSSの圧縮など、Webサイト側のパフォーマンス改善も継続的に行ってください。