IaCの活用
[更新日:2025年09月30日]
環境構築においては、手作業での設定を極力避け、Infrastructure as Code(IaC)を活用することが推奨されます。TerraformやシェルスクリプトなどのIaCツールを利用することで、インフラの構成をコードとして管理し、自動的に環境を構築することができます。これにより設定ミスを減らし、迅速かつ一貫性のある環境構築が可能になります。
Terraformによる環境構築
以下のGitHubリポジトリにて、様々なインフラパターンを構築するためのTerraform構成例を公開しています。
ディレクトリと構成例の対応は、以下のとおりです。
ディレクトリ名 |
構成例 |
---|---|
01 |
高度なWebサーバ構成 |
02 |
マルチリージョン災害復旧構成 |
03 |
オートスケール構成 |
05 |
ハイブリッド構成(専有ホスト + 仮想サーバ) |
06 |
セキュアWebアプリケーション構成 |
07 |
インターネットゲートウェイ構成(NFS + Sambaファイルサーバ) |
08 |
セキュアマルチリージョン分散システム |
各構成例の概要は、以下のとおりです。
高度なWebサーバ構成(01)
概要:アーカイブベースのクローニング機能を持つ柔軟なWebサーバインフラ
主な特徴:
既存サーバまたは新規サーバからの柔軟な構築
アーカイブベースクローニングによる効率的な複製
動的サーバ数設定(最小1台から任意の台数)
CPU・メモリ・ディスクサイズの自由な組み合わせ
多様なOS対応(Linux各種、Windows Server)
適用シーン:
開発・テスト環境の迅速な構築
既存サーバの複製・拡張
プロトタイプ環境の構築
マルチリージョン災害復旧構成(02)
概要:複数リージョンにまたがる高可用性Webアプリケーション環境
主な特徴:
柔軟なリージョン選択(プライマリ・セカンダリ)
GSLBによるグローバルロードバランシング
マネージドデータベースのマスター・スレーブ構成
ブリッジ接続によるリージョン間プライベート通信
自動フェイルオーバー機能
適用シーン:
ミッションクリティカルなWebアプリケーション
災害復旧(DR)環境の構築
地理的冗長性が必要なシステム
オートスケール構成(03)
概要:負荷に応じた自動スケーリングWebアプリケーション環境
主な特徴:
CPU・ネットワーク使用量ベースの自動スケーリング
エンハンスドロードバランサによる高性能負荷分散
スケジュールベース運用(平日業務時間対応)
初期サーバディスククローン機能
カスタムディスクまたは既存ディスクからの構築
適用シーン:
トラフィック変動の大きいWebサービス
コスト効率を重視するシステム
時間帯による負荷変動があるサービス
ハイブリッド構成(専有ホスト + 仮想サーバ)(05)
概要:専有ホストと仮想サーバを組み合わせたハイブリッドインフラ
主な特徴:
複数の専有ホストによる高性能環境
柔軟なサーバ台数設定(ロードバランサ + Webサーバ)
カスタマイズ可能なサーバスペック
プライベートネットワーク分離
日本語対応ドキュメント
適用シーン:
高性能を要求されるWebアプリケーション
セキュリティ要件の厳しいシステム
物理的な分離が必要な環境
セキュアWebアプリケーション構成(06)
概要:パケットフィルタとVPN機能を持つセキュアなWebアプリケーション環境
主な特徴:
詳細なパケットフィルタリング(Web・DB層の分離)
VPNルータによるL2TP/IPSec + WireGuard VPN
IPアドレスリストによるアクセス制御
プライベートネットワーク限定のデータベース
多層セキュリティ設計
適用シーン:
セキュリティが重要なWebアプリケーション
リモートワーク環境の構築
機密情報を扱うシステム
インターネットゲートウェイ構成(NFS + Sambaファイルサーバ)(07)
概要:VPNルータをゲートウェイとしたセキュアなファイル共有環境
主な特徴:
VPNルータによるインターネットゲートウェイ
サーバは直接インターネットアクセス不可(プライベートのみ)
Cloud-initによるNFS・Samba自動セットアップ
L2TP/IPSec + WireGuard VPNアクセス
柔軟なネットワークCIDR設定
適用シーン:
セキュアなファイル共有環境
社内ファイルサーバの構築
プライベートクラウドストレージ
セキュアマルチリージョン分散システム(08)
概要:Sophos Firewallを使用したマルチリージョンセキュリティシステム
主な特徴:
監視ゾーンと業務運用ゾーンの完全分離
Sophos Firewallによる統合脅威管理
柔軟なリージョン設定(変数で指定可能)
VPN集約拠点(監視ゾーン)
ブリッジ接続によるリージョン間通信
適用シーン:
企業の本社・支社間システム
高度なセキュリティが必要な分散システム
監視・運用の一元化が必要な環境
クイックスタート
Terraformによる環境構築の大まかな手順は、以下のとおりです。各ディレクトリにある「README.md」に詳細情報がありますので、参考にしてください。
[1] 前提
Terraformのバージョンは、1.0以上が必要です。
事前に、さくらのクラウドAPIキーを取得しておいてください。
[2] 環境変数
以下の環境変数を設定します。「your-access-token」「your-access-token-secret」は、適宜、読み替えてください。
export SAKURACLOUD_ACCESS_TOKEN="your-access-token"
export SAKURACLOUD_ACCESS_TOKEN_SECRET="your-access-token-secret"
[3] 構成例の利用
1. 構成例のディレクトリに移動
cd 01/
2.サンプル設定をコピー
cp terraform.tfvars.example terraform.tfvars
3.設定ファイルを編集
nano terraform.tfvars
*4.Terraform実行
terraform init
terraform plan
terraform apply
参考情報
各構成例のディレクトリには以下のドキュメントが含まれています。README.mdには、トラブルシューティング等の情報も記載していますので、参考にしてください。
README.md:詳細な構成説明と使用方法
terraform.tfvars.example:設定例とコメント
⚠️ 注意事項
本構成例は教育・学習目的で提供されています。
本番環境での使用前には十分なテストを実施してください。
セキュリティ設定は要件に応じて適切に調整してください。
Terraform stateファイルの管理には十分注意してください。