クラウドとさくらの専用サーバのハイブリッド構成
[更新日:2025年09月30日]
さくらのクラウドとさくらの専用サーバを組み合わせたハイブリッド構成は、両者の強みを活かし、特定のワークロードに最適なインフラを構築できる有効な選択肢です(図5)。クラウドの柔軟性とスケーラビリティを享受しつつ、専用サーバの高いパフォーマンスと安定性を特定のシステムに適用したい場合に特に適しています。

メリットと適用シナリオ
この構成は、各サービスの特性を最大限に引き出すことで、従来の単一インフラでは難しかった課題を解決します。主なメリットと適用シナリオは以下のとおりです。
ワークロードに応じた最適な配置: 大規模なデータベースや特定のライセンス制約があるソフトウェアなど、安定した高性能な物理リソースが必要なシステムには専用サーバが適しています。一方、Webサーバや開発・検証環境など、柔軟なスケールアウトが求められるシステムにはクラウドを利用します。
高いパフォーマンスと安定性: 物理リソースを専有する専用サーバは、仮想化オーバーヘッドがなく、安定したパフォーマンスを提供します。これとクラウドの柔軟性を組み合わせることで、システム全体の安定性と効率性を高めることができます。
段階的なシステム移行: 全てのシステムを一度にクラウドに移行するのではなく、リスクを抑えながら段階的にクラウドの利用範囲を広げることが可能です。
セキュアなネットワーク連携: 同一データセンター内での閉域網接続(ブリッジ接続)が可能です。これにより、インターネットを経由しない高速かつセキュアな通信経路を確保できます。
主要な構成要素と連携
ハイブリッド構成は、以下の主要なコンポーネントを組み合わせることで実現されます。
さくらの専用サーバ
物理的なサーバ資源を専有し、OSから自由に選択・構築できます。高性能CPU、大容量メモリ、高速ストレージなどを最大限に活用したい場合に利用します。主に、高IOPSが求められるデータベースや、特定のミドルウェアを動作させる基盤として配置します。
さくらのクラウド
Webサーバ、アプリケーションサーバ、開発・検証環境など、柔軟なリソース変更や迅速なプロビジョニングが求められる部分を担います。ロードバランサやオートスケール機能と組み合わせることで、Web層の可用性とスケーラビリティを確保します。
ブリッジ接続(閉域網接続)
さくらの専用サーバとさくらのクラウド間のネットワークをセキュアに接続するための重要な要素です。専用サーバの物理インターフェースとクラウドのプライベートセグメントを直結し、インターネットを経由せずに内部ネットワークとして利用します。
構築と運用における考慮事項
この構成を効果的に運用するためには、以下の点を考慮し、計画的に導入を進める必要があります。
ネットワーク設計
専用サーバとクラウド間、それぞれの内部ネットワークのIPアドレス体系やルーティングを慎重に設計してください。また、ファイアウォール設定は両環境で一貫性を持たせ、必要な通信のみを許可するセキュアな環境を構築しましょう。
データ同期と整合性
専用サーバとクラウド間でデータを同期する必要がある場合、データベースのレプリケーションやファイル同期ツールなど、適切なデータ同期の仕組みを構築する必要があります。
運用・監視体制
両環境を統合的に監視できるツールや仕組みを導入し、システムの全体像を把握できるようにします。障害発生時の切り分けや復旧手順を明確にし、両環境の運用担当者間で連携がスムーズに行える体制を構築してください。